中国食品産業のアナリスト朱丹蓬氏は、「スターが相次いで外食産業に足を踏み入れるのは、その背後にあるファン経済と深い関係がある。株式市場や不動産などの投資ルートに比べ、火鍋店の開設は参入のハードルが低く、成功しやすいことが、スターがレストランへの投資に熱を上げる重要な原因だ。スターの輝きを背に受けて、スターが経営するレストランは確かにオープン当初はかなりの賑わいを見せる」と述べた。
食品の全産業チェーンの発起人で、上海匠思企業管理有限公司の余知学社長は、「スターが火鍋店に投資することの最大の優位性は経営コストの低さにあり、またファン心理を利用して来店者を呼び込めるところにある。他の特色あるレストランに比べ、火鍋店ではプロの料理人の人件費をカットすることができる。一般的に言って、レストランで中心になるのは『シェフ』であり、規模の大きなレストランには数人から時には10数人もの料理人がおり、店の評判は料理人の腕前による部分が大きく、料理人の人件費は往々にして相当の金額になる。一方、火鍋の調達プロセスは標準化された手順を踏めばよく、独自の調達にかかる費用というものはない。火鍋店の経営モデルは相対的にシンプルで、(ビジネスに不慣れな)スターの弱点をある程度補ってくれる」と述べた。
注目されるのは、スターがレストランを開設するのは簡単だが、続けるのは難しいということだ。天眼査のデータによれば、現在、スターの外食企業約10社が登録を取り消したか、取り消されている。また天眼査専門版のリスクデータをみると、スターの外食企業の30%以上が正常でない経営を行っていたことがあり、関連企業が行政処分を受けたことがあるというところも10%を超えている。
朱氏は、「スターのレストラン経営は、通常は消費サイドにおいてであり、一部のスターは店舗を経営したり管理に力を入れたりした経験が皆無で、オーナーでありながら何もせず、プロのチームに任せきりにしている。すると(スターと)プロチームの利益関係がはっきりせず、トップレベルデザインに問題が生じやすくなる。スターの輝きが失われてくると、なんとかしてブランドを維持し発展を続けなければならず、そのためにはフロントエンドとバックエンドをどうやって次世代のニーズに合わせるかを考えなければならなくなる。品質はフロントエンドであり、ブランドはバックエンドであり、サービスシステムは総合力だ。品質、ブランドからサービスシステムまで、1つでも欠けてはならない」と述べた。
余氏も、「外食産業とエンターテインメント産業は全く違う2つの産業であり、火鍋店を開くにはやはり外食に関する管理の経験が必要だ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年9月9日