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【イラストで知ろう!イマドキ中国】 「打工人」とは何ぞや?

第23回

人民網日本語版 2020年11月23日13:21

最近、中国のネットを賑わしているワードがある。それは「打工人」。日本語に訳すならば「ワーカー」または「働く人」といったところだろうか?今回は今年のホットワード入りを果たすかもしれない「打工人」を中心に、中国で働く人々にまつわる話題を紹介していこう。人民網が伝えた。

働く人々を表す中国語の呼び名いろいろ

「打工」という中国語は雇われて働く、またはアルバイトするという意味。そのため、「打工仔(男性の場合)」や「打工妹(女性の場合)」などは、臨時雇いの職業や地方からの出稼ぎ労働者を指すことが多い。この他にも、「臨時工(アルバイト)」や「農民工(農村からの出稼ぎ労働者)」といった単語もある。また会社で働く人々を指す単語としては、「上班族(サラリーマン)」や「白領(ホワイトカラー)」など。これらの単語はどちらかというと働く人を客観的に表す呼び名と言えるだろう。

「社畜」や「996」の時代へ

一方で経済が発展し、競争が激化していくのにつれて、働く中国人たちを取り巻く状況もますますハードになっていき、人々のストレスも増している。それに伴い、働くことにまつわる自虐的な呼び名も使われ始めるようになった。その代表的なものとしては、日本語からそのまま使われるようになった「社畜」がいい例かもしれない。

さらには、もともとは建築作業に関わる肉体労働者たちのベーシックな仕事である「搬磚(レンガ運び)」を「単純作業でしかも低賃金」の仕事を指す代名詞として使用するようになったり、2016年に大ヒットした上海彩虹室内合唱団の「感覚身体被掏空(まるで体が空っぽになったみたい)」は社畜の悲哀をユーモアたっぷりに歌い上げた。そして2019年のホットワード入りを果たした「996」は朝9時から夜9時まで、週6日勤務という過酷な勤務スタイルを表現している。

では「打工人」とは?

現在のところ、「打工人」に定義されているのは、肉体労働から頭脳労働などに携わる働く人全て。建設現場でレンガを運ぶ作業員も、オフィスで働くホワイトカラーも、中間管理職の人も、起業家も、「打工人」を自称できるとしている。「打工」本来の意味から考えると、「雇われ者」となりそうだが、そうなると起業家というのは当てはまらなくなってしまう。そこで人民網では働く人という意味から「ワーカー」という訳語を採用している。

ただ、実際に「打工人」を使ったスタンプやネタを見る限り、確かに「社畜」のように上司や会社には従わざるを得ない身分でありながら、「社畜」ほど自虐的ではなく、かといって「ワーカー」というほどオシャレでもないのではないかというのが私個人の意見。しかし現在までに「ワーカー」よりもしっくりして、「打工人」のネタにも使える日本語の翻訳を思いつけてはいない。

自分を「打工」する人だと貶めつつも、やや皮肉りながら、前向きに今の状況を受け入れ、でもちょっとバタ臭さを残した「打工人」という言葉が、イマドキの働く中国人たちの心情を余すことなく表現していたため、ネットで大きな話題を集めたのではないだろうか(文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。

イラストで知ろう!イマドキ中国

人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。

「人民網日本語版」2020年11月23日 

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