北京朝陽区に住む潘継紅さん(69)は、「家にいながらこんなに素晴らしい高齢者ケアサービスを受けることができるなんて、以前は想像もしなかった」と話す。
潘さんの夫は、複数の疾患を抱え、長期にわたって薬を服用しているほか、体が不自由だ。「4種類の薬をもらうために、毎月、夫を連れて、3軒の病院に行かなければならない。そのため、毎月どの日にどの病院に行くか計画しなければならず、本当にたいへん。夫を連れて病院に行くと、一日がかりになってしまう。列に並んで予約を入れ、診察を受け、精算して薬をもらっていた。毎回病院から帰って来ると、クタクタになっていた」と潘さん。
今年2月、潘さんが住むコミュニティと北京愿景和家生活科技集団が提携し、「不動産管理+高齢者ケア」サービスを立ち上げた。その後、スタッフの■磊さん(■は門がまえに三)が、高齢の住民の基本的な情報を収集するために、潘さんの自宅を訪れた際、潘さんが直面している困難な状況を把握。その状況に合わせて、コミュニティの不動産管理所が、医療保険が利用できるオンライン診療が可能な病院と連絡を取り、潘さんがオンラインで処方箋の手続きをして、薬を自宅まで届けてもらえるサービスが利用できるようサポート。潘さんが生活において直面している大きな問題が解決された。
2021年3月25日、安徽省肥西県上派鎮の「愛和家」在宅高齢者ケアサービスセンターで、ボランティアに散髪してもらう高齢者ら(徐勇・人民図片)。
北京愿景和家生活科技集団の関係責任者によると、「コミュニティの高齢者ケア」とは、家庭を中心に、コミュニティをそのサポート役として活用し、高齢者を対象にしたデイケアや介護、家事代行サービス、カウンセリングなどの出張サービス、コミュニティデイケアを主なスタイルとし、さらに、高齢者ケア機関の専門的なサービススタイルを導入した高齢者の在宅ケアサービス体系を指す。
「コミュニティの高齢者ケア」の特徴は、高齢者は自宅にいながら、世話などを受けられる点だ。コミュニティの関連サービス機関やスタッフが高齢者の家を訪問して、サービスや介護サービスを提供する。従来の在宅型高齢者ケアと比べると、「コミュニティの高齢者ケア」には、より質の高いケアサービスが加わっている。また、各施設機関で実施される高齢者ケアと比べると、自宅でサービスを受けることができるというのが最大のメリットだ。
多くの若年の夫婦は、仕事や生活のプレッシャーが大きく、それぞれの両親を世話するとなると、いろんな現実的な問題に直面する。老人ホームは、一部の高齢者ケアをめぐる問題を緩和しているものの、多様化し、ケースバイケースの対応が求められる高齢者ケアのニーズを満たすのは至難の業だ。そのような背景の下、「コミュニティの高齢者ケア」が打ち出され、高齢者ケアをめぐる問題を解決するために、積極的な模索が行われている。
2021年3月27日、在内蒙古(内モンゴル)自治区呼和浩特(フフホト)市玉泉区四里営西コミュニティ総合高齢者ケアサービスセンターで、運動する高齢者ら(丁根厚・人民図片)。
質の高い暮らしをしたいという思いは、高齢になったからといって、なくなるわけではない。そのため、「コミュニティの高齢者ケア」は、高齢者が質の高い暮らしができるようにサービスを提供するという点に焦点を合わせなければならない。例えば、物質的な衣食住・移動、精神的な文化、娯楽など全てが、そのサービスがカバーする必要のある範疇となる。
山東省済寧市任城区にある団地・皇営康橋華居小区の住民・胡穏平さんは、「私にとって、一番収穫が大きかったのは、高齢者を対象としたスマホ教室。先生はみんな高齢者に忍耐強く接し、スマホのいろんな使い方を教えてくれた。以前は、他の人がQRコードをスキャンして支払いをしたり、スマホでタクシーを利用したりしているのを見て、羨ましいと感じていた。でも、今は私もスマホさえ持っていれば外出できる暮らしができるようになった」と喜び、「コミュニティは毎週、スマホ教室やDIY教室、健康講座など、高齢者を対象とした活動を企画してくれている。高齢化に対応するためのコミュニティの取り組みにとても満足している」と話す。(編集KN)
2020年10月29日、山東省東営市辛店街道コミュニティ高齢者ケアサービスセンターで、女性スタッフの指導を受けながら、指体操をする高齢者ら(宋星剛・人民図片)。
「人民網日本語版」2021年5月6日