貧困脱却が高齢者たちにもたらした笑顔

人民網日本語版 2020年10月28日17:01

人民網が展開している中国各地の貧困支援の現状を紹介するプロジェクト「大道康庄」。山東省東南部に位置する地級市の臨沂市では農作物の品種改良やECプラットフォームによる販売、観光事業など様々な方法で貧困脱却が進められてきた。一部の地域ではすでに村全体の生活環境の改善だけでなく、産業の多元化や高齢者向け住居の建設など、より一歩進んだ取り組みを展開している。人民網が伝えた。

貧困支援対象者のための掲示板--臨沂市費県新劉庄村

取材に答える94歳の宋伝栄さん(撮影・栗翹楚)。

新劉庄村では月季花やブドウなどの生産のほか、農業体験などの観光事業による貧困脱却を進めている。村の広場でおしゃべりを楽しんでいた高齢者たちは現在、いずれも村が建設した新しい家屋に移り住んでおり、その生活環境は以前よりも格段に改善されているという。そこで、広場にいた高齢者たちの中で最高齢だった宋伝栄さん(94)の自宅を取材させてもらった。一軒家の住まいでは、庭でヤギや鶏を飼っており、乱雑としてはいたが、宋さんは以前の家屋よりも雨風がしっかり防げるので満足しているとしていた。長男がまだ12歳の時に夫を亡くした宋さんは女手ひとつで息子たちを育てあげ、今は次男と二人でこの家に暮らしている。家の壁に貼られている掲示板には貧困支援政策の対象である宋さん一家に関する電子化された記録をQRコードから確認することができる。また支援対策のため訪問した村の担当者たちはQRコードから訪問日や支援内容を写真付きで記録することができ、支援側の監督管理もできるようになっている。

高齢者向け集合住宅--臨沂市蘭陵県代村

代村では野菜や果物などの栽培のほか、養殖や観光など産業の多元化が進められてきた。そして60歳以上の村民は、村の敷地内に建設された高齢者向け集合住宅に無料で入居することができる。光熱費と食費は自己負担となるが、1週間に1回はボランティアなどが清掃サービスを提供しているほか、月々年齢に応じた高齢者手当も支給されるため、基本的にその手当だけでも十分に暮らすことができる。現在、この団地には合計192世帯が暮らしており、この団地に入居せず、家族と同居する場合は、村からその分の手当てが支給されるという。

高齢者向け集合住宅に夫婦で入居して8年目になるという79歳の李学全さん(撮影・栗翹楚)。

親の介護に関しては、日本のみならず、中国でも子供の義務ととらえられているが、こうした高齢者向け集合住宅に両親を入居させることについて、子供たちはどのように感じているのだろうか?この集合住宅に夫婦で入居して8年目になるという李学全さん(79)は、「子供たちもこうしたスタイルに理解を示している。また住人は高齢者たちばかりなので、どの家の子供たちが両親に会いに来たり、世話しに来ているか一目瞭然。これまであまり親孝行ではなかった子供たちも外聞を気にして、親孝行するようになっている」とユーモアを交えて語ってくれた。

集合住宅近くの木陰でトランプ遊びに興じる高齢者たち(撮影・栗翹楚)。

集合住宅近くの木陰では、高齢者たちが集まり、トランプ遊びに興じていた。いずれも長年の農作業で真っ黒に日焼けし、顔には深い皺が刻まれていたが、その顔には心からの笑みが浮かんでいた。

こうした住宅の構造や内部の設備を細かく見てみると、まだまだ高齢者向けの配慮が足りないと感じる点も少なくない。しかし、その住宅環境は格段に改善されており、高齢者向けの文化活動など精神的な幸福感の向上にも次第に目が向けられている。今後ますます中国の高齢化が進行していくにつれて、そのポテンシャルも拡大していくことは間違いないだろう。(文・玄番登史江)

村のそこかしこではおしゃべりを楽しむ高齢者たちの姿が見られる(撮影・栗翹楚)。

「人民網日本語版」2020年10月28日

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