北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩いて紹介する、その名も「ぶらり北京」。今回は煎餅フェスティバルにやって来ました。自他ともに認める食いしん坊のA姐とG姐。さて、その本領発揮といきますでしょうか?
北京市朝陽区百子湾にある皇包車大院で、5月22日と23日の2日間にわたって、「2021煎餅フェスティバル」が開催された。中国の北方地域を中心に食べられている軽食「煎餅(ジエンビン)」をテーマにしたこのフードフェスも、今回で5回目。今年は天津からも煎餅店を招き、「北京天津煎餅龍虎対決」と銘打っての開催となった。
第5回煎餅フェス会場の様子(撮影・勝又あや子)
ますますバリエーション展開豊富になる煎餅
煎餅は小麦粉などを水で溶いた生地を薄くクレープのように焼き、揚げパンなどをくるんだもの。出来上がりを待ちながら、丸い専用の鉄板の上で小さなトンボのような道具で生地を広げる様子や、卵を割る動作、片面が焼きあがった後でひっくり返す様子、刷毛でタレを塗る様子、揚げパンをのせてから生地で包む様子など、調理の一部始終を見るのもちょっとしたお楽しみ。作る途中で、卵の個数、中に入れる具の種類、タレの好みなどを伝えて、自分好みの煎餅にしてもらえるのもまた楽しいものだ。
煎餅を焼く様子(撮影・勝又あや子)
中に入れる具は、以前は揚げパンくらいのものだったが、いつしか魚肉ソーセージが加わり、レタスが加わるなどして、今ではバリエーションがかなり豊富になっている。軽く食べたいなら揚げパン抜き、がっつり食べたいなら肉系の具をプラスするなど、好みとお腹の具合によって調節も可能だ。
北京天津煎餅龍虎対決!
北京と天津の煎餅龍虎対決の投票ボード。龍が北京、虎が天津(撮影・勝又あや子)
さて、今回のテーマである北京と天津での煎餅龍虎対決に話を戻そう。「こんなにシンプルな食べ物なのに、対決するほどの違いがあるのか」と疑問に思う人もいるかもしれない。それが結構違うのだ。
まず、生地が違う。北京では煎餅の生地に小麦粉を使うことが多いが、天津では緑豆粉が主流だ。小麦粉生地だともっちりした食感、緑豆粉生地だと軽い食感に焼き上がる。
北京の煎餅。生地は小麦粉で、薄脆を具にすることが多い(撮影・勝又あや子)
2つ目の違いは具だ。揚げパンを入れるのはどちらも同じだが、北京では主に薄脆(バオツイ)と呼ばれる薄いパリパリの揚げパンを入れるのに対して、天津では主に油条(ヨウティヤオ)という細長い揚げパンが好まれる。薄脆だとパリパリ食感でよりスナック風、油条はふっくらしていて食事風といった趣だ。
天津の煎餅。生地に緑豆粉を使い、油条を具にするのが大きな特徴(撮影・勝又あや子)
今回の煎餅フェスでは、北京陣営はチキンや豚カツ、豚モモ肉など肉系の具のほか、ひき肉入りチリソースやアボカドといった変わり種の具を揃え、さらにはガレットやお好み焼きなど様々なバリエーション煎餅で勝負。中には、海苔で具材を挟んだものやパンケーキなど、「これはもはや煎餅とは呼べないのでは?」というものまであるほどだった。一方、天津陣営は油条か薄脆のみというシンプルな具で勝負に臨んだ。
様々な具の「煎餅」(撮影・勝又あや子)
北京っ子に話を聞いてみると、煎餅のバリエーションに対しては比較的寛容な様子で、「今はいろんな具が入っているものもある。実のことを言うと、自分が食べている煎餅がどこ風のものかはあまり意識していない」とのこと。一方の天津っ子の言い分は、「生地は緑豆粉でないと!中にはあれこれ入れず、油条一択」。中には、「小麦粉の生地なんてねちゃねちゃして食べられたもんじゃない!」という人までいる。煎餅に関しては、どうやら天津っ子のこだわりのほうが強いようだ。
煎餅自体はとてもシンプルな食べ物。しかも北京と天津は約110キロしか離れていないのに、煎餅に対する意識には意外と違いがあるものだ。ご当地グルメへの愛は地元愛でもある。こと煎餅に関しては、天津っ子の地元愛のほうが強い?それとも、北京の包容力が示されたと言うべき?さて、あなたの好みはどちら?(文・勝又あや子)
ぶらり北京
北京の街を人民網日本人編集者のA姐とG姐がぶらりと歩き、見たり、食べたり、遊んだり?興味の向くまま、気の向くまま、北京の魅力をゆる~くお伝えしていきます。
「人民網日本語版」2021年5月27日