東アジア協力メカニズムは地域の団結と協力の重要なプラットフォームであり、本来なら発展というテーマに焦点を合わせ、実務協力を重視すべきだが、遺憾なことに、常に特定の域外国がこのプラットフォームを利用して地政学的な自己利益を追求する。先日開催されたASEAN関連外相会議で、米国は度々南中国海問題でもめ事を引き起こしたうえ、中国の国内問題に非難を加え、中国のイメージを損なった。こうした時代後れの陳腐な論調はASEAN諸国の同調を得られないばかりか、反対に米国式覇権主義の傲慢と無礼が流れに逆らうものであり、時代の発展にとうに後れを取っていることを、さらに多くの人々に見せつける結果となった。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国が地域諸国間のブロック対立を煽ろうと企てるのは、地域諸国間の協力的発展という現状及び大勢を無視したものである。数10年間にわたる深く厚い蓄積と包括的な発展を経て、中国とASEANの関係はアジア太平洋地域で最も成功した活力ある模範となり、地域の平和・安定維持、発展・繁栄促進における重要な柱となっている。新型コロナウイルス感染症の発生後、双方間の成果に富む協力は、新型コロナウイルス対策と経済回復における国際協力の模範となった。中国はこれまでに、ASEAN10ヶ国に新型コロナウイルスワクチンを1億9000万回分以上提供した。中国・ASEAN間の貿易額は、今年上半期に前年同期比で38.2%増加し、4100億ドル(1ドルは約109.8円)を突破した。ASEANは引き続き中国にとって最大の貿易パートナーであり、双方間の累計投資額はすでに3100億ドルを超えている。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効と実施は、双方間の経済・貿易協力に一層の弾みをつけることになるだろう。リム・ジョクホイASEAN事務総長は、「ASEANと中国の戦略的パートナーシップは、この地域で最も豊かで活力あるパートナーシップの一つとなっている」と指摘した。
各国の訴えに配慮し、各国の利益を受け入れ、共通の安全保障を促進し、地域の長期的安定を実現することは、地域諸国の共通利益にかなう。米国の行為は、この地域を地政学への回帰という危険にさらすものであり、ASEAN諸国の支持は当然得られない。シンガポールのリー・シェンロン首相は先日、たとえ米国の同盟国やパートナーであっても、中米両国との広範な関係構築を望んでいることを強調した。米国はこのことに目をつぶり、地域で対中「包囲網」構築を強行する力が自国にはまだあると一方的に思い続け、その傲慢と偏執を改めて露呈し、その固執する冷戦思考がとうに時代後れであることを改めて証明した。
米国の対中封じ込めと抑え込みが壁にぶつかり続けていることは、根本的問題における変更の必要性を物語っている。すなわち、米国は中国を「仮想敵」と見なす誤った考えを棄てる必要がある。米国のステープルトン・ロイ元駐中国大使は、「地域諸国は中国と緊密に協力している。米国は外交政策を策定する際、協力パートナーの利益を考慮しなければならない。自らの要求を当然のように彼らに押し付けようとしてはならない」と指摘した。米国の外交課題は、中国を封じ込め、抑え込むという泥沼に完全にはまり込んでおり、国際・地域構造に衝撃を与えるだけでなく、米国自身の利益も大きく損なっている。現在米国では新型コロナウイルスの感染状況が深刻に悪化しており、新規感染者数は1日あたり10万人を超えている。米国政府は中国を抑え込む無益な努力に注力するのではなく、新型コロナ対策、自国民の健康、さらに国際協力の強化に注意を向けるべきである。
米国は何かというと「強者の立場」から中国に対処することを主張するが、米国の国内的現実も国際的現実も、米国のいう「強者の立場」をすでに支えられなくなっている。米国は中国を変えることはできないし、中国が現代化するプロセスを押しとどめることも、断ち切ることもできない。中国と米国が対話を通じて、異なる制度、異なる文化、異なる発展段階を持つ2つの大国が平和的に共存し、さらには互恵・ウィンウィンを図る道を見出すことを、この世界は共通して必要としているものだ。 米国は一刻も早く根本的に方針を転換し、中国との歩み寄り、相互尊重、公正な競争、平和共存を選択するべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年8月9日