六中全会

バーチャルの歌手からメイク達人まで、「メタバース」がブームに

人民網日本語版 2021年11月25日12:26

最近、柳夜熙という名前のメイクブロガーがインターネットで人気を集め、インターネット上の仮想世界「メタバース」のブームを後押ししている。柳夜熙は最初のショート動画をアップしたその日に135万人のフォロワーがつき、11月16日時点で2本の動画をアップして、904万5千件の「いいね」を獲得し、フォロワーは499万人を超えた。ただ、柳夜熙はリアルな人間ではなく、仮想世界のバーチャルヒューマンだ。「斉魯晩報」が伝えた。

「メタバース」の概念は米国のSF作家ニール・スティーブンスンが1992年に発表した小説「スノウ・クラッシュ」で初めて登場した。これはネット上の人格と仮想現実(VR)の初歩的な暗示を特色とした最初のサイバーパンク小説で、「メタバース」とは現実世界とパラレルでありながら、常にオンラインの仮想世界であり、食事や睡眠などは現実の中で行わなければならないが、他のことはすべてこの仮想世界で実現できるとしている。30年後の今、この小説は多くのインターネット関係者に「メタバース」の起源だとリスペクトされている。

今年に入ってから、「メタバース」がたびたび人々の前に登場するようになった。米ビデオゲーム開発企業のロブロックスは「メタバース」概念株として初の上場を達成し、米SNS大手のフェイスブックは社名をメタに変更し、マイクロソフトは「メタバース」に全面的に進出すると宣言した。このような注目の話題が次々に現われ、中国の起業家の羅永浩氏も次の起業プロジェクトは「メタバース」と関連したものになると発表した。人気上昇に貢献するにしろ、人気に便乗するにしろ、ゲームやSNS、広告、マーケティングなどさまざまな分野が相次いで「仮想世界」に進出していることは確かだ。

実は「メタバース」という奥深く、ファンタジックな概念は、映画や娯楽の分野ではしばしば使用されてきた。同概念が流行する前に公開された映画「マトリックス」では、作中のバーチャル世界と現実世界とのシミュレーションや対立に「メタバース」の大まかな概念が取り入れられている。最近では「レディ・プレイヤー」や「フリー・ガイ」などの映画が「メタバース」の概念のより詳細なイメージを打ち出した。2018年公開のスピルバーグがメガホンを取った「レディ・プレイヤー」は、「メタバース」の概念をより明確に打ち出した。映画は2045年の世界を舞台に、混乱と崩壊の淵で現実世界に失望し、救いを求めて「オアシス」というVRゲームに希望を托す人々の姿を描いている。VRデバイスを装着すれば、ゲームの中で現実世界とまったく違う仮想現実に浸ることができ、「オアシス」には華やかな都市があり、さまざまなイメージのきらきら輝くプレイヤーたちがいて、いろいろな次元の映画・テレビ・ゲームの有名なキャラクターたちも集まっている。主人公は現実の生活では寄る辺もない、ゲームに夢中な若い男性だが、VRゲームの設計者に対する深い分析に基づき、困難を重ねて、ついにゲームをクリアすることに成功する。今年封切られた「フリー・ガイ」の設定もVRゲームだが、主人公がゲームの中のモブキャラ(ノンプレイヤーキャラクター<NPC>)というところに特徴がある。孤独な銀行員の主人公が、自分は実は大型オンラインゲームの背景キャラクターに過ぎないと知った後、ゲームから抜けだして人生をやり直すと決め、ゲームの世界を救って「世界のヒーロー」になる姿を描いた。

映画やテレビだけでなく、バーチャルヒューマンも「メタバース」と現実世界をつなぐ窓口で、バーチャルアイドルやバーチャル配信パーソナリティが次々に登場した。昔から知られているバーチャルアイドルと言えば、2007年に日本で誕生した歌姫の初音ミクがいる。彼女が歌う「イエヴァン・ポルッカ」はこの年に世界的にヒットし、その後、ホログラム技術を使用して世界ツアーも行われた。12年には中国のバーチャルアイドルの洛天依が誕生し、曲を発表したりコンサートを開いたりするだけでなく、ニッチな二次元カルチャーから脱却してさまざまな公演に出演する活躍を見せた。

ここ2年ほどで、バーチャルアイドルがさらに盛んになり、今年初めに中国中央テレビのバラエティ番組「ブラボー ヤングスターズ(上線吧!華彩少年)」にはバーチャルキャラクターの「翎Ling」が登場した。20年にはバーチャルアイドルオーディション番組「ディメンションノヴァ(跨次元新星)」が放送され、すべてバーチャルヒューマンの候補者30数人が登場し、パフォーマンスコンテストや人気投票などさまざまな競争を経て、最終的に留歌、PAPA、十火の3人のバーチャルアイドルが選ばれた。スマホゲーム「王者栄耀」から生まれたボーイズグループの無限王者団は、雑誌の表紙を飾る、映画のエンディング曲を歌う、アルバムを発表するなど幅広く活躍している。今年は江蘇衛視や愛奇芸なども相次いでバーチャルヒューマンによるバラエティ番組を放送した。

各ジャンルのバーチャルヒューマンがネットで勢いよく発展している。柳夜熙は独特の中国風イメージとキャラクターでデビューし、海外ではバーチャルネット有名人のリル・ミケーラがSNSで300万人のフォロワーを獲得し、中国初の超リアルバーチャルヒューマン「AYAYI」は今年9月に阿里巴巴(アリババ)集団に就職した……。バーチャル歌手からバーチャルネット有名人まで、さらにはバーチャルメイクの達人まで、市場はバーチャルヒューマンをますます受け入れるようになり、「メタバース」のバーチャルヒューマンたちにより多く活躍の舞台を提供するようにもなった。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年11月25日

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