調理済み食品が売れている!ここ2年ほどの間に、調理済み食品は一線都市・二線都市の消費者の間で人気になった。このほど終了した「ダブル11(11月11日のネット通販イベント)」でも、各大手プラットフォームの売れ筋商品になっていた。便利で、手間がかからず、種類が多く、味もなかなかの調理済み食品は、忙しい都市の人々の「食事をどうするか」という悩みをスピーディに解決し、ブルーオーシャン市場の扉を開いた。「広州日報」が伝えた。
調理済み食品の市場規模が拡大中
「いつも簡単な料理10品(の調理済み食品)を買って、冷蔵庫に入れておくので、1週間のおかずを何にするかという問題はほぼ解決してくれる。そして選択肢がたくさんあるし、全国各地の料理が何でもそろっている」と話すのは、設計の仕事をしている翁さんだ。仕事がとても忙しく、毎日7時過ぎにならないと家に帰れないが、調理済み食品があるので、帰宅してすぐに熱々のごはんが食べられる。温めるだけですぐ食べられ、作るより大幅に時間を節約できるという。取材でわかったのは、翁さんのような多くの都市のホワイトカラーが、仕事が忙しく夕食を作る時間がないので、「すぐに食べられるもの」が消費のトレンドになり、調理済み食品の勢いある発展を促していることだ。
今年の「ダブル11」期間には、天猫(Tmall)新生活研究所が発表した「10大トレンド商品」に調理済み食品が入った。天猫のデータでは、同期間には半調理品やインスタント食品を含めた調理済み食品の売上げが爆発的に伸び、取引額は前年同期の約2倍増加した。
艾媒諮詢のデータによると、2019年の中国調理済み食品市場の規模は約2445億元(1元は約18.0円)に達した。21年は同18.1%増の3459億元と予想される。今後は20%前後の増加率を維持して高度成長を遂げ、23年は5165億元に達し、今後6-7年で3兆元を突破して、「次の1兆元レベルの飲食市場」になることが期待される。
調理済み食品の人気でコックが危機に!?
調理済み食品の大人気の背後には原因がある。食品産業アナリストの朱旦蓬氏は、「企業サイドの発展状況を見ると、調理済み食品は主に企業サイドの飲食企業の調理済み食品に対するニーズの増大によって選択肢が多様になり、大量生産と標準化された生産によって味の安定性がより保障されるようになった。最も重要なことは調理済み食品は厨房のスタッフを減らし、調理を出すスピードを速くし、生産コストを引き下げ、調理中の食材の無駄を省けることだ。おうち経済と速い生活リズムの2つの要因が重なり合って、調理済み食品は昨年に消費者市場に乗り出し、高速発展期を迎えた。家で楽しむ文化、ものぐさ経済、料理ができない人が増え続けており、調理済み食品の発展の前提条件を整えた。現在の消費者サイドにおける調理済み食品は大衆による消費が中心で、食材も大衆化している。今後は高度化に伴って、高級路線の調理済み食品が登場する可能性もある。しかし現在の市場シェアを見ると、企業サイドが引き続き大きな割合を占め、80%に達している」と述べた。
市場ニーズを受けて複数の上場企業が調理済み食品市場での展開を進めている。飲食企業の広州酒家は昨年初めにこの競争に乗り出し、同社の関係責任者によれば、「これまでに消費者市場に向けて20種類のメニューを打ち出した」という。調理済み食品分野で最初に上場した蘇州市味知香食品股份有限公司は、メニューがさらに豊富で200種類を超える。企業調査プラットフォームの天眼査のデータでは、21年1月末現在、中国には調理済み食品関連企業が6万9千社以上ある。一方で、15年はわずか4千社だったという。
では、調理済み食品に適したメニューは何か。広州酒家の関係責任者は、「1つ目は、材料の下ごしらえが難しいメニュー、または高い調理技術が必要とされるメニュー。2つ目は、ものぐさ経済に合った、操作が簡単で時間がかからず、パッケージしやすく、コストも低いメニューだ」と説明した。湛江国聯水産開発股份有限公司の李忠会長は、「下ごしらえが難しい食材がより適している。例えば家では処理が難しいマグロなどだ。これまでに独自開発したメニューは100種類近くある」と話した。
調理済み食品の登場は、本当に世間でよく言われるような「飲食革命の到来」なのか、「コックたちが苦境に立たされる」のか。業界関係者は取材に「そんなことはない」と言う。
業界関係者の1人は取材に、「工業製品としてのメニューを作る時に、最初の段階ではコックによるメニューの開発が必要で、それが終わって初めて大量生産できる。また現在の調理済み食品はまだ初期段階にあり、味はさらに改良する必要がある。消費者の心理的な受け入れレベルということでも、工業化された調理済み食品はまだ従来の飲食モデルに取って代わることはできない」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年11月24日