米国は9日に、いわゆる「民主主義サミット」を開催しようとしている。だが、米国はすでに民主主義のノウハウを世界に「伝授」する「道徳的影響力のある地位」を失っているというのが、国際的に一致した声だ。
今年6月のピューリサーチセンターの世論調査では、米国の民主主義に倣うべきと考えるドイツの回答者はわずか14%だった。フランス、英国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの世論調査でも似通った結果が出ている。
今年初めに起きた米議会議事堂での暴動は、米国の民主主義神話のバブル崩壊の象徴だったというのが一致した見解だ。暴動は、米国の民主主義神話崩壊の原因というよりも、米国の民主主義システムにおける弊害の1つの症状に過ぎないというべきだ。
民主主義は人々の問題を解決するべきものだ。それなのに今日の米国では、過去に発動した、または参加したいかなる戦争よりも多くの人々が新型コロナウイルスの感染拡大によって死亡している。教育、雇用、医療など各方面でエスニック・マイノリティが差別され、虐げられている。銃による暴力で毎年数万人もの市民が死亡している。メキシコとの国境の難民の子どもたちは、狭い施設にすし詰めにされて苦しみを味わっている。世論調査によると、米国人の8割以上が自国の民主主義の状況に不満を抱いている。
選挙時には手を尽くして有権者を抱き込むのに、選挙後には人々の訴えを少しも気にかけない。このような民主主義は幻影に等しい。有権者は4年に一度の票集め時に寵児さながらの待遇を受けるだけで、選挙後に彼らが解決を必要とする問題を気にかける者はいない。バイデン現大統領は選挙戦中、「団結と癒し」を訴え、穏健な立場を追求することを約束した。だが米国メディアは、今やバイデン大統領は過激なアジェンダを進めているようだと指摘する。米紙「The Hill」によると、選挙公約と就任後の行動の180度の転換に、バイデン政権への国民の不信感が高まっている。
米国では政治的二極化と社会的分断が一段と激化しており、政府には「物事を成し遂げる」能力がないというのが実情だ。米国メディアは、政府の機能不全により、どの政党が政権を握ったとしても、国家や国民のニーズへの政府の対応は怒りや敵意、憎しみを醸成すると指摘する。こうした感情は日常生活の中にも溢れている。飛行機内の暴力、政治的意見が違う人への脅し、護身用武器の大量購入、人間関係全般における粗暴さ。「これらはいずれも、現在民主主義を蝕んでいる政治的がんの確かな症状だ」。
米国は自分たちが身にまとっている民主主義の華美な礼服がとっくに穴だらけなのに、他国の質素で快適な衣服を嘲笑する。偽善的で、機能不全に陥り、衰微し、 嘘と形式主義に満ちた民主主義制度には、民主主義のノウハウを世界に「伝授」する資格はない。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年12月7日