国際オリンピック委員会(IOC)の製氷技術顧問を務めるアーサー・ギルバート・サザーランド氏は24日のブリーフィングで、「北京冬季五輪の二酸化炭素(CO2)製氷技術が全世界での普及を望んでいる」と述べた。新華社が伝えた。
サザーランド氏は北京冬季五輪の特任専門家で、製氷作業に40年以上従事しており、過去8回の冬季五輪の製氷経験を持ち、アイスホッケー、カーリング、フィギュアスケート、スピードスケートなどの製氷を担当したことがある。「冬季五輪の製氷は非常に素晴らしい体験だ。北京に感謝する」。
サザーランド氏は自分の経歴を紹介する際に、「若い頃は製氷で使用される冷媒が環境を汚染することを知らなかった。その後の技術の進歩に伴い、従来型の冷媒を大量に使用すると地球温暖化を招き、オゾン層を破壊することに気づいた。そこで業界内でルール作りが始まり、従来型の冷媒の使用に規制をかけ、さらに新たな冷却方法の試みを始めた」と率直に語った。同氏は北京冬季五輪がCO2を冷媒に選んだことを知ると、「これは偉大なる決定だ」と述べた。
サザーランド氏は図表を使い、2種類の冷媒の差について直観的に解説した。CO2冷媒のオゾン層破壊のポテンシャルは0で、地球温暖化のポテンシャルは1に過ぎない。同じ量の従来型の冷媒を使用した場合の炭素排出量は、CO2冷媒の3800倍以上にのぼるため、後者が最も環境に優しい方法の一つとなる。
サザーランド氏は、「従来型の冷媒と異なり、CO2冷媒は無毒かつ無汚染で、そして熱交換効率が非常に高い」としている。「さらに製氷士は、CO2冷媒が氷面全体の温度を非常に均等にできることに最も満足している。これは従来型の冷媒ではできないことで、製氷士が温度調節に努力しなければならない。また同技術は選手が何周滑っても氷の品質を保てることで競技がより公平になる」
製氷は冬季五輪会場の技術力を総合的に示すものだ。サザーランド氏は、世界で初めてCO2製氷技術を導入した冬季五輪会場であるため、国家スピードスケート館から深い印象を受けていると述べた。「CO2という新型冷媒を応用した中国の勇気は賞賛すべきだ。これまで中国はこの技術を使用していなかった。このすべてを可能にした中国の努力に感謝する」と同氏。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年1月26日