「星の軌跡」とは恒星が移動する軌道を指す。北京では以前、そんな「星の軌跡」を撮影するためには郊外に行かなければならなかった。しかし、最近では、アマチュア写真家たちは市内の首鋼パークで「星の軌跡」を撮影できるようになっている。「星の軌跡」の撮影場所が郊外から市内に変わったことは、北京の大気の質が継続的に改善していることを示している。昨年を例にすると、北京市の大気の質が「優良」だった日の数は288日で、1年の78.9%を占め、2013年に比べて112日も増えた。「深刻な大気汚染」の日数は8日まで減り、2013年と比べて50日少なくなった。この目に見える変化は、中国のこの10年の生態文明建設の際立った成果と言えるだろう。
優れた生態環境は、最も公平な公共財で、最もあまねく恩恵のある民生福祉だ。この10年、中国の生態環境は歴史的転換点を迎え、大きく回復した。その植樹・造林は、世界の人工造林の約4分の1を占め、単位GDP二酸化炭素(CO2)排出量は累計で約34%減少し、風力発電や太陽光発電といったグリーン電力の設備容量や新エネルギー車の生産台数は世界トップとなっている。
豊かな自然は、自然の財産、生態系の財産、社会の財産、経済的財産でもある。上海を流れる楊浦濱江は「工業ラストベルト」から「ライフショーベルト」へと変わり、工業企業集積地から住民の「美しい裏庭」へと変容した。寧夏回族自治区の賀蘭山砂石鉱区は、再開発されてワイナリーへと姿を変え、産業のモデル転換が住民に大きな益をもたらしている。雲南省大理白(ペー)族自治州の古生村の湖周辺に広がっていた耕地や家畜の飼育場はすでに、林などの自然な状態に戻されており、美しい自然の景色を見るために、多くの観光客が訪れるようになっている。こうした事実は、生態環境保全が、自然の価値を守り、自然資本の価値を高め、経済、社会のポテンシャル、持久力を守ることを意味するということを証明している。
生態環境保全や経済発展は、統一して追い求めるべきもので、互いに補い合う関係にある。発展しながら保護も進めなければ、発展理念の抜本的変革、 価値志向の抜本的調整、発展スタイルの根本的な転換を実現することはできない。昨年5月、中国初の林業CO2チケットが正式に発行された。そして、福建省将楽県の生態公益林のCO2排出削減量が測定され、約14万元(1元は約20.45円)で売却された。現地の人々は、「以前は木を伐採してお金を稼いでいたが、今は森林、大気を保護してお金を稼げるようになった」と感慨深く語る。
美しい中国を建設するだけでなく、中国は今、世界の生態文明建設の重要な参加者、貢献者、リーダーにもなっており、「2030年をめどに、CO2排出量ピークアウトを、2060年をめどにカーボンニュートラルを実現」するという目標を厳かに掲げている。中国はCO2排出量ピークアウトとカーボンニュートラルを生態文明建設の全体レイアウトに組み込み、風力発電や太陽光発電といった新エネルギーの発展を加速させ、グリーンで低炭素なライフスタイルを自主的に追求する社会を作り上げるよう取り組んでいる。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年9月19日