野外で撮影された尖歯衛矛(撮影・胡君)
中国科学院成都生物研究所がこのほど明らかにしたところによると、科学研究者は第2回青蔵高原(チベット高原)総合科学調査研究で、生態環境の改善が続く青蔵高原東部の貢嘎(コンガ)山の南東斜面で、百年間「行方不明」の絶滅危惧植物である「尖歯衛矛(Euonymus aquifolium)」を発見した。
英国の植物学者ウィルソンは1908年に四川省西部で、尖歯衛矛の果実期の標本3点を採集した。その後110年以上にわたりこの種が発見されていなかった。
野外で撮影された尖歯衛矛の花、果実、葉。(撮影・胡君)
中国科学院成都生物研究所の胡君補佐研究員が2021年8月、チームを率いて第2回青蔵高原科学調査任務を展開した際に、貢嘎山の南東斜面の断崖に約15株の尖歯衛矛と思しき個体群を発見した。胡氏は、「私はラッキーだった。あるニシキギ科を研究する専門家は十数年探し、またある科学研究者はこれを探すため山から転落し負傷したが、いずれも結果がなかった」と述べた。
採集された尖歯衛矛の標本を見せる胡君氏。
科学研究の正確性を保証するため、科学研究者は植物分類に影響を及ぼす萼片、花弁、雄蕊の数などの鍵となる情報の詳細な野外観察を行い、その科学的なスケッチを手描きで作成した。野外科学調査が終了した後、さらにこの植物標本及び形態が近い「刺葉溝瓣(Glyptopetalum ilicifolium)」の標本の分子遺伝情報実験・対照を行い、発見した植物が尖歯衛矛であることを最終的に確認した。
ルーペで標本を観察する胡君氏。
科学研究者は今回の発見により、初めて尖歯衛矛の花の特徴を記述・説明し、複数の属性情報を補完・修正した。これに関連する研究成果の論文はこのほど、国際的な植物分類学誌「Phytokeys」に掲載された。国際自然保護連合(IUCN)の2022年のレッドリストの分類・基準によると、尖歯衛矛は「近絶滅種」に指定されている。
科学研究者は現在、遺伝資源の収蔵・保存及び植物園での導入を試みている。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年8月24日