垂直グラフェン。画像提供は信合啓越
優れた光学的、電気学的、力学的特性を持ち、応用範囲が極めて広い新材料としてのグラフェンが近年、注目を集めている。グラフェン応用製品は人々の生活にどれほど近づいているのだろうか。この疑問を携え、筆者は西部(重慶)科学城に位置するハイテク企業の信合啓越を取材した。静かで人の少ない生産現場では、革新的な大規模製造工法が、炭素原子が複数種類の金属及び非金属基材に「垂直成長」するよう制御していた。高さがナノ単位で計算する垂直グラフェン材料を形成する。中国新聞網が伝えた。
重慶信合啓越の李葵陽社長は、技術の研究開発における「偶然的な」エピソードを明かした。「当初はカーボンナノチューブ製造技術の研究開発に取り組んでいた。グラフェンの概念が学界で広く注目を集めるようになると、当社は製品の表徵の対照・分析を行い、その構成がグラフェン材料であることを確認した。その後第3者の専門家及び科学技術部(省)の専門家の分析を経て、当時わずか十数人だったチームが『863計画』プロジェクト『グラフェンの製造制御及びその光電気分野における応用』の課題を担当することになった」と李氏。
同社のチームは需要と目標に基づき的を絞った研究開発を行い、製造工法、中核成長設備、製品構造を改良し続けた。その後最も目標に近づいた製品構造は、すでに垂直グラフェンになっていた。
同社はプロジェクトの支援を受け、垂直グラフェン材料製造及びその応用技術の研究開発に取り組んだ。垂直グラフェン基礎材料、機能材料、中核部品から末端応用製品に至る一連の製品ラインを徐々に発展させた。
李氏は将来の発展について、「当社は現在、中国、米国、ドイツの複数の発明特許を取得している。関連末端製品及び中核部品はすでに市場化段階に入るか、入ろうとしている。うち安全検査及び工業検査X線管製品はすでに5000点余り販売しており、売上高は1200万元(1元は約20.2円)を超えている」と自信たっぷりに述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年11月3日