「木のない村」の歴史にピリオドを打った西藏自治区の村

西蔵自治区の森林カバー率が12.14%に

人民網日本語版 2019年03月01日13:27

「約20年前に西蔵(チベット)自治区拉薩(ラサ)市に行った時に初めて木を見て、那曲(ナクチュ)にも木と緑があればいいのに思った」と話す西藏自治区那曲市の牧畜民・桑旦搭傑さん(48)は、26歳になるまで同市以外の所に行ったことがなく、木を見たこともなかったという。

現在、テクノロジーを活用することで木の生存率も向上しており、標高が平均4500メートル以上で、1年のうち半年以上雪が降り土壌が凍結している那曲市も、「中国で唯一木のない都市」という状況から脱した。

「今は那曲にも木がある。ラサと比較することはできないが、夏には緑を見ることができ、私たちが子供の頃は木を見たことがなかったが、今の子供はそれを見ることができる」と桑旦搭傑さん。

西藏のある高原にある村にはたくさんの木がある。

西藏は「世界の屋根」、地球の「第三の極」と呼ばれ、中国、南アジア、東南アジアの「川の源」であり「生態源」だ。アジア、ひいては北半球の気候の変化に影響を及ぼす源で、生態的に非常に重要な役割を担っている。

近年、西藏は国土緑化行動の推進に力を注ぎ、「両江四河(ヤルンツァンポ川、怒江、ラサ河、年楚河、雅▲(▲は竜の下に石)江、獅泉河)」流域造林緑化プロジェクトを実施している。統計によると、2018年、西藏の植林・造林面積は7万5000ヘクタールに達し、863の村が「木のない村」という歴史にピリオドを打った。同自治区の森林カバー率は12.14%まで向上している。

西藏林芝(ニンティ)市の景色。

那曲市の浙江西路の両側には、長さ1200メートルのグリーンベルトがあり、612本の木が植えられている。那曲の街道で初めて緑化が実施された場所となる。

2016年11月、中国科技部(省)と西藏自治区の計画のもと、億利集団は那曲の標高の高い地域でテクノロジーを駆使した重大植樹プロジェクトを実施した。億利集団のプロジェクト責任者・◆偉(◆は赤へんにおおざと)さんによると、「テクノロジーを駆使した約2年間にわたる取り組みにより、特に寒さが厳しく、風が強く、紫外線の強い厳しい環境下で、植樹の成果が出始めている」という。

那曲市の植樹プロジェクトをサポートするために、西藏自治区は1000万元(1元は約16.50円)を投じて、11万3300平方メートルの植樹試験エリアを建設した。また、同自治区の林業・草原局も特定項目資金118万元を投じて、那曲で植えられた樹木が越冬できるよう保護する作業を行った。

那曲の標高の高い地域で実施されたテクノロジーを駆使した重大植樹プロジェクトの試験拠点で、気象ステーションのビッグデータ自動モニタリング設備をチェックする緑化エンジニア。(撮影・劉東君)

砂や石が多く、土の質が悪く、標高が高くて寒く、酸素がうすく、雨が少なくて干ばつがになりやすい西藏の阿里(ガリ)地区、普蘭(プラン)県、●爾県(●は口へんに葛)、札達(ツァンダ)などでも大きく成長した樹木が増えている。2018年、札達県の8の村が「木のない」歴史にピリオドを打った。阿里の林業当局によると、同地区ではこれまでに、4万5473ヘクタールで造林・砂漠化防止が実施され、1110万3500本の木が植えられ、砂あらしがある程度抑制されている。

阿里で30年以上働く現地の幹部・加央氏は、「街に緑が覆われると、気分も良くなる」とその喜びを語った。

「人民網日本語版」2019年3月1日

  

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