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中国のSF映画「流浪地球」はなぜ爆発的大ヒットとなったのか?

人民網日本語版 2019年02月12日10:27

「遠くない未来」において、太陽が急速に衰退して膨張し、地球も滅亡の危機に直面した場合、生き延びるために、地球に住むのはあきらめ、地球上の全ての動植物のサンプルを手に脱出する?それともボロボロの地球と抽選で避難所に移転する資格を得た人間およそ30億人と共に、地球の表面に無数のエンジンを建造し、地球をまるごと太陽系の外に移動させて、2500年もの間、宇宙をさまよう旅にでるか?あなたならどちらを選択するだろうか?

家と祖国と故郷の土地に深い思い入れのある中国人は後者を選択するだろう。これが春節(旧正月、今年は2月5日)映画として封切られ、爆発的ヒットとなっているSF作家・劉慈欣の小説を映画化した「流浪地球(The Wandering Earth)」の物語だ。

公開から3日目を迎えた7日、春節映画の中で評判が最も良かった「流浪地球」の興行収入は期待通りのロケットスタートを見せ、春節映画の1日当たりの興行収入ランキングでトップに立った。

大スクリーンに映し出されたミステリアスに赤く輝く木星、凍りついた地球、無残な姿に変わり果てた北京や上海など、中国の映画史上まれにみる特殊効果による映像はSFファンであるかに関わらず、観客全員を震撼させるほどの迫力だ。また同作品がきっかけとなり、「科学」や「SF」などが人々の話題に上り、「『流浪地球』により中国SF映画元年がスタートした」、「『流浪地球』は不合格」といった賛否両論が渦巻き、大きな盛り上がりを見せている。

加えて呉京(ウー・ジン)や呉孟達(ン・マンダ)などの人気俳優が主演を務めていることもあり、同作品は口コミも興行収入もそろって急上昇している。コミュニティサイト・豆瓣での評価は8.4ポイントに達している。ネットユーザーからは、「期待をはるかに上回っていた」、「ついに中国のSF大作が誕生した」、「涙が出た」など、興奮を隠せないコメントが次々に寄せられ、10日の本稿執筆時点で、興行収入はすでに20億元(1元は約16.23円)に達した。業界関係者は、少なく見積もっても、興行収入は40億元に達すると予想している。

「流浪地球」の興行収入と口コミが揃って急上昇しているのは、そのテーマ自体に優位性があるからだ。コメディ映画がパターン化しているのに対して、「流浪地球」で描かれているSFの物語は、多くの人にとって新鮮味がある。劉慈欣の原作小説で描かれている地球に推進エンジンや方向転換器を建設し、地球をまるごと太陽系から脱出させ、宇宙で新天地を探すというのが同作品の核となっている。おもしろいSF映画には、そのような核が必ずあるものだ。また、製作技術が飛躍的に向上しているほか、中国と海外の協力が進んでいるというのが、「流浪地球」の誕生につながった。

SF映画の製作技術は2つの分野に分けることができる。1つは、ソフトウェアの分野。例えば、コンピューターグラフィックス(CG)技術、3Dバーチャルカメラ、映画の特殊効果製作に使われる各種ソフトウェアなどがある。2つ目は多くの種類の技術を組み合わせ、非常に手間をかけて理想の效果を生み出すという技術の実現だ。

中国には後者の面で優位性があるため、近年多くの海外のSF大作の制作が中国で行われている。こうした中国と海外の協力が中国国産SF大作の誕生のために、良い土壌を整えたといえる。こうした環境の中、「流浪地球」が登場したのは、決して偶然ではない。

ハリウッド大作に登場する荒廃したニューヨークやロサンゼルスなどを見飽きた人が、「流浪地球」を見て、凍り付き荒廃した北京や上海、杭州を見ると、その終末的な世界観に、これまで感じたことのないような視覚や感情の刺激を受けることになる。

その他、中国で現在人気となっている海草ダンスが懐かしの一曲として流れたり、トレーラーのエンジンを入れるたびに流れる「北京市第三区交通委員会からお知らせです。道路は何千万本もあるが、大事な1本は安全運転。交通ルールを守らず事故が起きれば、家族が二筋の涙を流すことになります」という交通安全標語は、観客らを思わず笑わせるのと同時に、中国人ならではのユーモアと自信をも感じることができる。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年2月12日

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