北京時間8日午前10時(日本時間8日午前11時)、第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議の記者会見がメディアセンターで行われ、王毅外交部長(外相)が「中国の外交政策と対外関係」について国内外の記者からの質問に答えた。
新中国外交70年の成果と経験について
王部長は、「中国外交の輝かしい実績はなによりもまず党の指導の賜物と言える。これこそ中国外交の最も根本的な政治的保障だ。70年にわたり、中国共産党は時代と共に歩み、中国の特色ある外交理論体系を豊かに発展させ続け、一連の優れた伝統と鮮明な特色を形成させた」とした。
さらに、「独立自主は中国外交の礎石であり、『天下を公に為す』は中国外交の抱負だ。公平と正義は中国外交が堅守するものであり、互恵とウィンウィンは中国外交が目指すところだ。国家発展をサポートすることは中国外交の使命であり、国民のための外交は中国外交の主旨だ」とした。
朝鮮半島核問題について
王部長は、「対話が途絶えず、方向性を変えないかぎり、朝鮮半島の非核化というその目標は最終的に必ず実現できる。朝鮮半島の核問題は各種の矛盾が錯綜して複雑であり、その解決は一気に成し遂げられるものではない。各国はこれに対し、理性的な予測をすべきで、最初から高すぎるハードルを設けたり、一方的に現実離れした要求をしたりすべきではない。問題解決の要は、各国が歴史の枠から飛び出し、相互不信の呪いを打ち破ることだ。問題解決のルートは、朝鮮半島非核化の実現と平和メカニズムの構築の全体的なロードマップを共に制定した上で、『段階的に同時に進める』というアプローチに基づいて、各段階をつなげ、促進し合うようにする具体的な措置を明確にし、各国の合意した監督メカニズムのもと、容易な問題から着手し、順を追って進めていくべきだ」とした。
第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムについて
王部長は、「習近平国家主席が指摘したとおり、『一帯一路』(the Belt and Road)のイニシアティブは中国発だが、その成果は世界のものだ。第2回サミットフォーラムは必ずや円満な成功を収め、『一帯一路』共同建設における新たな一里塚になると期待し、確信している」とした。
孟晩舟事件について
王部長は、「最近発生した特定の中国企業や個人を対象とする行為はいたって単純な司法案件という訳ではなく、意図的な政治的抑圧と言える。中国が今守ろうとしているのは、一企業の権益だけでなく、一国の、一民族にとって正当な発展の権利であり、科学技術水準を向上させたいと望むすべての国のしかるべき権利だといえる」とした。
さらに、「中国は関係企業や個人が法律を武器に自らの権益を守り、『沈黙する羊たち』にならないことを支持する。理非曲直は人々の心にあり、正義はやがて果たされるだろう」とした。
中国・ヨーロッパ関係について
王部長は、「独立自主は一貫してヨーロッパの伝統だ。国際社会における主要パワーの1つとして、欧州は自らの根本的かつ長期的な利益の観点から、対中政策の独立性、安定性、積極性を維持し、中国側と共に各分野における互恵協力を深め、国際ルールを守り、世界平和を守るために貢献することを信じている」とした。
中米関係について
王部長は、「40年間にわたり風雨を凌いできた中米関係は、歴史的な進展を遂げつつ、新たな挑戦に直面している。過去の経験をまとめるなら、『和すれば共に利し、争えば共に損をする』という一言に尽きる。現在、国際情勢と中米両国には大きな変化が生じたが、この一言は依然として金科玉条と言え、両国はこれを堅持、擁護し、惑わぬ定力を堅持していくべきだ」とした。
さらに、「中米両国が協力する過程において、一部の競争が生じることは国際関係において正常な現象であり、肝心なのはこれをどう捉えて、扱うかという点だ。ひたすら競争の面を大きく取り上げれば、協力の可能性が押しつぶされてしまう。協力の拡大に主眼を置くことこそ、中米の共通利益に合致すると言える。米国には中国と歩み寄り、協力を深化させながら良性の競争を進め、それぞれの発展を促すと同時に互恵ウィンウィンを実現することを望んでいる」とした。
中ロ関係について
王部長は、「中ロ双方の政治における相互信頼、経済における互恵協力、国際的事務における互助関係は大国関係の模範となっており、両国国民に大きな福祉をもたらしているほか、地域ひいては世界の平和と安定にも重要な貢献をしてきた。中ロ両国が協力すれば、世界により多くの平和・安全・安定がもたらされるだろう」とした。
多国間主義への擁護について
王部長は、「グローバル化の時代に身を置く我々の運命はつながり、盛衰を共にしており、必要なのはひとりよがりで勝手な行動ではなく、助け合うチームワークだ」とした。
中米間の問題と矛盾の増加への懸念について
王部長は、「我々は依然として中米関係の未来に前向きな予測を抱いており、中米関係は対立に転じないし、転じさせてはならない。ましてや冷戦的な古い考え方を再び用いることは、時代の流れに逆行し、人々の期待とはかけ離れている。一部で中米の切り離しを主張する向きもあるが、これは明らかに非現実的だ。中国と切り離すことは、チャンスそして未来と切り離すことになり、ある意味で世界と切り離すことになってしまうからだ」とした。
「一帯一路」共同建設について
王部長は、「『一帯一路』(the Belt and Road)は一貫して『共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う』という原則を堅持し、各国に発展のチャンスを数多くもたらしている。多くの事実が物語っているように、『一帯一路』は『債務の罠』ではなく、人々にメリットをもたらす『恩恵』であり、地政学的な道具ではなく、共に発展するチャンスだ」とした。
中国・アフリカ関係について
王部長は、「中国・アフリカ協力は数十年にわたり積み重ねた努力を経て、すでにいかなる勢力でも揺るがすことのできない大木となっている。中国・アフリカ協力がますます成功するにつれて、非難と中傷も招いている。中国とアフリカの信頼は高く、友誼は幾多の試練をも乗り越えてきた。その協力の成果はすでにアフリカ大陸の隅々にまで行き渡っている。事実に基づかない中傷はアフリカで一切通用しない」とした。
パキスタン・インドの紛争について
王部長は、「パキスタンとインドが危機を好機に変え、歩み寄ることで早々に新たな1ページをめくり、両国関係の根本的かつ長期的な改善を図り、対立の代わりに対話を行い、善意で隔たりを解消し、協力で未来を切り拓くことを、中国は心から期待している」とした。
アフガニスタン問題について
王部長は、「衝突を引き起こすことより、平和を推し進めることのほうがよほどの勇気が必要となる。中国は、アフガニスタン各方面が国と民族の大義を見据え、国内の政治的和解の重要なチャンスをとらえ、話し合いで紛争を回避し、戦争をやめて友好親善を説き、手を携えて平和への扉を開くよう呼びかける」とした。
さらに、「中国は、数多くの苦難を経験してきたこの国が不死鳥のように苦難から生まれ変わり、運命を自分の手に握り、真の独立と恒久的な平和を迎えることを心より願っている。アフガニスタンがこれ以上大国の競技場となり、打ち続く衝突と戦火を被ることはあってはならない」とした。
中国・ラテンアメリカ関係について
王部長は、「どの国の国内問題も自国民が決定すべきで、外部の干渉と制裁は緊張を激化させ、弱肉強食の法則を再び横行させるだけだ。歴史上、こうした教訓はすでにあまりにも多く、これ以上繰り返されるべきではない。あらゆる国の主権と独立は貴重なもので、同じように大事に守られなければならない」とした。
さらに、「ラテンアメリカ諸国が『1つの中国原則』に基づいて中国と国交を樹立・発展することは、歴史発展の大勢と時代の潮流に順応し、自らの根本的、長期的利益に合致する正しい選択であり、干渉や非難を受ける言われは一切ない」とした。
中国外交は強硬化するかについて
王部長は、「威圧的な態度で人に接するような伝統は中国にはなく、国の強さから覇権を求めるという選択は論外だ。中国は強大になるが、より強硬にはならない。中国は自主独立を尊ぶが、独断専行にはならない。中国は自己の権益を当然ながら断固として守るが、覇権を求めるようにはならない」とした。
領事保護活動について
王部長は、「2019年も中国は引き続き領事分野において国民の安全、利便性と利益のためになる措置を打ち出す計画だ。12308スマホアプリの最適化とバージョンアップを行い、スマホで手軽に手続きができる『サービスセンター』を開設し、在外公館ではモバイル決済を逐次導入するなど、『指先で行える領事サービス』を充実化する」とした。
南海問題COC協議について
王部長は、「『南海行動規範』は『南海における関係国の行動宣言』のバージョンアップ版として、同地域の需要により反映させ、関係諸国の行動をより効果的に規定し、南海における航行の安全と自由をよりしっかりと維持する。南海の平和と安定を決める鍵は、地域諸国自らの手に握られるべきであり、『南海行動規範』は地域諸国が共に作成し、遵守し、その責任を担うべきだ」とした。
中日関係について
王部長は、「中日関係の改善はまだ歩み始めたばかり。これからすべきことは『知行合一』だ。歴史に対してしっかり誠実に向き合い、現実を客観的に捉え、未来を積極的に切り拓いて、地道な行動で正しい方向に向けて揺るぎなく進んでいくことだ」とした。
外交が国内の発展をサポートについて
王部長は、「中国外交はより一層、国内発展サポートという大事業をしっかり進めていく。より多くの地方地域の海外進出を支援し、地方の看板となる国際行事の創出を支持していくほか、企業の正当な権利を確実に守り、積極的に情報提供を行う」とした。
中朝関係について
王部長は、「我々は、朝鮮側が自国の国情に適した発展の道を歩み、社会主義建設事業において新たな進展を手に入れ続け、新たな国家戦略を実施し、経済発展と民生改善に力を注ぎ、朝鮮半島非核化の方向性を堅持しつつ、非核化のプロセスにおいて自国の正当な懸念を解決するよう全力で支持する」とした。
中印関係について
王部長は、「中国は、中印友好と協力が長江とガンジス川の流れの如く滔々と前進していくように、両国関係の発展に強力かつ持続的な原動力を注いでいきたい。両国は人口27億を有し、古い文明を誇るだけでなく、大きな発展途上国及び新興経済国として、それぞれの夢を実現させる協力のパートナー、互いの経済を発展させるの重要なチャンスとなるべきで、共にアジアの振興と繁栄にしかるべき貢献をすべきだ」とした。(編集TG、LX)
「人民網日本語版」2019年3月8日