自ら話題を振りまき、常に注目の的の米電気自動車(EV)大手テスラは、ここ2日間にもまた世間の注目を集めている。中国で全シリーズ車を値下げし、値下げ幅は最大で34万元(1元は約16.7円)になると発表したのだ。それだけでなく、最も「安価」なスタンダードモデル「Model 3」の発売も開始した。価格はわずか20万元ほどだという。一連の動きを受けて自動車業界は騒然としている。業界の予測では、「値下げ後のテスラが、中国独自ブランド車の市場シェアを極めて大きく奪う可能性がある」という。また今年の新エネルギー自動車に対する補助金政策がまもなく打ち出され、中国の新エネ車市場は競争が激化する見込みで、真の実力が試される時代に入ることになりそうだ。「北京日報」が伝えた。
▽発売5日で20万元の値下げ
テスラは2月22日、入門モデルの3を中国市場で発売した。3月1日には、全シリーズを大幅に値下げすると発表し、3は2万6千〜4万4千元の値下げになり、「Model S」は1万1300〜27万7500元、「Model X」は17万4500〜34万1100元の値下げになるとした。値下げ幅最大は「Model X P100D」の34万1100元だ。ネットユーザーからは、「株を買うより車を買う方がドキドキする。値下げの波が本当に突然やって来る」といった声も上がっている。
テスラによると、スタンダード車種のモデル3は発売を開始しており、米国市場での販売価格は約3万5千ドル(1ドルは約111.9円)からで、人民元にして約23万元に相当するという。
▽懸念 実力差をどうやって埋めるか
テスラはこれまずっと100万元以上する高級車というイメージだったが、今では23万元出せば乗って家に帰れる手軽なものになった。ネットユーザーからは、「20万元のテスラが出てきたら、中国独自ブランドはどうやって生き延びたらいいんだ」といった声が上がっている。
自動車情報サイト・汽車之家の創業者・李想さんは、「好調な日々はまもなく終わる」という。現在、多くの新エネ車企業は自社のEVの性能を大々的に宣伝しているが、実際の航続距離はそれより短い。こうしたズレは最も消費者からEVについて多く指摘されている点だ。また航続距離のズレだけでなく、テスラは中国自動車メーカーと異なる販売モデルを採用している。中国の新参メーカーの多くが費用をかけて豪華なオフライン店舗を構えるのに対し、テスラは世界規模で販売スタイルをオンライン販売に切り替え、自動車価格を平均約6%引き下げた。北米地域の消費者は携帯電話でわずか1分ほどでテスラを買うことができ、この方法は世界市場でも急速に普及しつつある。
業界関係者は、「中国ブランドがテスラの位置づけ、営業販売理念に追いつこうとすれば、投資と時間が必要だ」と指摘する。