2020年東京五輪組織委員会は16日、競技スケジュールを発表した。夏季五輪は通常、3度の週末を含む17日間の日程になっている。しかしそのスケジュールを詳しく分析してみると、主催国である日本の意向だけでなく、放映権をめぐる利権、主要視聴国間の時差などがスケジュールに大きく影響していることが垣間見える。こうしたスケジュールはいずれもアスリートにとって精神的に多大なストレスを与えることになる。
米テレビ局の意向色濃いスケジュールに
東京五輪は20年7月24日(金曜日)に開幕し、8月9日(日曜日)に閉幕する。競泳の準決勝と決勝は現地時間午前中に開催され、同時間帯は米国時間の夜に当たる点は注目に値する。
このような状況は、1988年のソウル五輪や08年の北京五輪でも見られた。放映権料の面で、米国のテレビ局は、国際オリンピック委員会(IOC)にとって最大のお得意様であり、IOCの放映権收入の50%を占めている。つまり、スポーツの権益と視聴率を最優先し、今回もIOCが妥協した形だ。
北京五輪では、競泳に出場した中国の選手たちは、大会前の練習では毎日5時半に起き、空腹の状態で練習をはじめ、約3時間かけて6000‐7000メートル泳ぎ、9時ごろに朝ごはんを食べていた。そして、1日の練習が終わり、翌日に備えて夜9時半には就寝していた。
日本水泳連盟の青木剛会長は「残念な結果ではある。日本のゴールデンタイムに、日本のファンに競泳の決勝を見てもらいたかった」と落胆した様子を見せた。
その他、IOCは、米国が得意とする競技の放映時間も考慮したようで、東京五輪では、競泳と陸上の試合日が3日間(7月31日、8月1日、2日)重なっている。これまでの五輪では、第一週に水泳、第二週に陸上の試合が行われ、さらに、記者らの移動、休息時間を考慮してその間に空きが1日あった。東京五輪のスケジュールは、完全に米国の視聴者の便宜に合わせて制定された形だ。