米国のWHO脱退は「世界の誰も支持しない」決定

人民網日本語版 2020年07月09日11:09
米国のWHO脱退は「世界の誰も支持しない」決定

米国はこのほど、世界保健機関(WHO)を脱退する手続きに正式に入った。現地時間7日午後、国連のドゥジャリク事務総長報道官は、分担金の納付を含め、国連が現在、米国が脱退のすべての条件を備えているかを確認していることを明らかにした。

パンデミックの時期にWHOを脱退するというこの行動は、米国内及び国際社会から強く非難されている。

■米共和・民主両党:WHO脱退は米国を一層脆弱化

民主党の大統領候補であるバイデン氏は、自身が大統領に選出された場合、この決定を即日撤回すると表明した。AP通信によると、トランプ大統領は各世論調査でバイデン氏の後塵を拝しており、中国とWHOを強く批判することで、政府の新型コロナ対策の問題への批判をそらす狙いがある。

米上院外交委員会のメネンデス委員は「この行動によって米国民の命や利益を守ることはできず、米国人を一層弱くし、孤立無援にするだけだ」と述べた。他の委員は「100年の間で最も深刻な世界的な感染拡大の中でWHOを脱退することは、米国人を一層脆くする」と指摘した。

■米医学界:WHO脱退はパンデミックの期間を長くする

現時点で、米国の新型コロナウイルスの感染者数は300万人、死者数は13万人を超えている。この決定に米国の医学界は反対している。

米国の医学会、小児学会、家庭医師学会、医師学会の担当者は、WHO脱退という米国の行動を共に非難し、「これによって、我が国の健康は深刻な危険性に直面する」と声明で指摘した。

世界の公衆衛生と国際法の専門家750人が6月30日に米議会に書簡を送り、米国の脱退はWHOによる検査、接触者の追跡、ワクチンの開発に必要な資金の不足を招き、米国人及び外国人の命を奪い、パンデミックの期間を長くするかもしれないと指摘した。

■世界的機関複数がWHOを声援 米国の行動は世界の感染症対策を弱める

米メディアによると、WHO脱退というトランプ政権の決定はブラジルのボルソナーロ大統領を除き、同盟国からほぼ支持されていない。ボルソナーロ大統領は6日、新型コロナウイルスに感染していることが判明した。

国連財団のCousens会長はこの決定について「近視眼的で不必要であり、完全に危険」と指摘。「WHOは世界の新型コロナウイルス対策を先導し、調整できる唯一の組織だ」「米国とWHOとの関係の終止はウイルスとの闘いにおける世界の努力を弱め、全ての人々を危険にさらすだろう」と指摘した。

Global Health Councilの会長はCNNに「公衆衛生分野の専門家から国家元首まで、そして感染症との闘いの最前線の英雄たちまで、無数の人々が世界にはWHOが必要であることを認識している。米側のこの行動は、我々がまだ感染症に勝利していない中での危険な賭博であり、WHOに取って代わる可能な選択肢は現時点でまだない」と指摘した。

英紙ガーディアンは「トランプ大統領のこの行動は国際社会からいかなる支持も得ていない」と指摘。ドイツ外交の高官は新型コロナウイルス感染症に関する大西洋理事会の会議で「感染症による全面的な打撃の中で、WHOの取り組みを妨害するのは、決して良いアイディアではない」と指摘した。ガーディアンは「この会議では、どの国の外交官も米国のWHO脱退を支持しなかった」と報じた。(編集NA)

「人民網日本語版」2020年7月9日

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