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人民網日本人編集者の目で見た「大道康荘」山東省編

人民網日本語版 2020年10月15日09:09

人民網が展開している中国各地の貧困支援の現状を紹介する「大道康荘」。山東省では2018年末にすでに同省の基準における貧困人口251万6千人と同省が指定した貧困支援業務重点村8654ヶ所が全て貧困脱却し、その基本的な任務を全て完成させている。今回、人民網では臨沂市と菏沢市における貧困支援に関する取材を展開、その先々で素敵な笑顔を浮かべたお年寄りやECプラットフォームを活用し貧困脱却を目指して頑張る人々などに出会った。

しわに刻まれた顔に浮かぶ笑み

高齢者向け集合住宅の広場でトランプ遊びに興じていたお爺ちゃんや、新築の高齢者向け住宅に移り住み、仲間たちとの牌九(ドミノのような牌九牌という駒を使ったゲーム)遊びが何より楽しみだと、なんとも嬉しそうな表情を浮かべながらその遊び方を紹介してくれたお爺ちゃん。山腹に広がるナツメ畑でザルを片手に収穫していたお婆ちゃんは、山道を登りながら取材場所に向かう私たちを目にすると、両手いっぱいに摘みたてのナツメを持たせてくれた。

彼らの住まいや暮らしぶりはまだまだ都市部とは大きく隔たりはあるものの、コミュニティが高齢者たちの暮らしをしっかり支える体制は、今後、日本以上に高齢化社会が深刻になると言われている中国において、ますます重要になっていくことだろう。

ECプラットフォーム活用による貧困脱却

農産物などをECプラットフォームやライブコマースを通じて販売し、貧困支援を行うスタイルは山東省に限らず、中国各地で展開されている。農産物が豊かな山東省では、品種改良による単価のアップや、ECプラットフォームがパッケージや販売サポートを提供することで商品の付加価値を高めるなどの施策がとられている。

別名「淘宝村」と呼ばれている菏沢市曹県大集鎮丁楼村は舞台衣装の販売で貧困脱却を実現。以前は青島のレストランで働いていたという趙営さん(34)は約6年前、地元に戻り、子供向けの舞台衣装のビジネスを始めた。裁断や縫製を一から学び始め、加工の請負作業で経験を積みながら、次第に生産規模を拡大していった趙さんは、2018年からは同村が提供する貧困支援用作業場を借り受け、年間300万元(約4600万円)の売り上げをあげるまでに成長。しかし今年の新型コロナの影響で子供関連のイベントが次々中止となってしまい、深刻な影響が出ているという。そんな趙さんは現在、オリジナルデザインの子供向け漢服を販売するなど、今後の方向を模索中だ。

山東省で見つけた食べ物あれこれ

山東省と言えばマントウを始めとした各種の粉ものが有名。味噌と長ネギを巻いてかぶりつく大きな大きな煎餅(ジエンビン)、名前は同じ「焼餅」でも、場所によって形も味も違う焼餅(シャオビン)。この他にも、高タンパクのご馳走として出されたセミの幼虫や、懐かしい味のするコーリャンのソフトキャンディーなど、素朴ながら味わい深い食べ物にたくさん出会った。

日本でも所得格差が広がり、「貧困家庭」が話題になり始めているが、日本でいう貧困は相対的貧困に当たるため、中国が国をあげて展開している絶対的貧困への「貧困支援」とは異なる。とはいえ、貧困児童の就学や高齢者への支援など、日本と共通する課題も少なくない。支援の一つ一つを取り上げれば、まだ完全とは言い難いものもあるものの、政府がしっかり支えようとしている意気込みは間違いなく感じられた。(文・玄番登史江)

「人民網日本語版」2020年10月15日

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