最近、複数の国で新型コロナウイルス感染症がぶり返しており、その中には中国の重要な貿易パートナーも少なくない。専門家によると、「成長を取り戻し始めたばかりの中国の輸出は再び試練に直面することになる」という。中国新聞社が伝えた。
目下の感染症ぶり返しが「深刻な地域」は主に北半球に集中している。スペインでは現地時間の9日14時現在、新たに確認された感染者が6千人に迫り、感染者数は累計で86万1千人を超えた。フランスは過去24時間以内に新たに確認された感染者が2万339人に上り、1日あたりの感染者数が初めて2万人を突破した。ドイツの新規感染者数も激増し、6つのエリアで「警戒ライン」を突破し、人口10万人あたりの一日の新規感染者数が50人を超えた。ロシアとウクライナの一日の新規感染者数も感染症が発生して以来の最高を更新した。
世界保健機関(WHO)の緊急事態対応統括者のマイケル・ライアン氏はこのほど、「新型コロナの大流行はまだ発展を続け、北半球では感染拡大の勢いをみせる。世界の10人に1人がすでに感染している可能性があり、これは感染が確認された人の20数倍にあたる数だ」と述べた。
感染症が再び勢いを盛り返したのはちょうど、中国の輸出にとって重要な時期にあたる。現在、中国の1ヶ月あたりの輸出額増加率は2ヶ月連続で10%を超え、今年1-8月の輸出がマイナス成長からプラス成長に転換するのを後押しした。また秋から冬にかけてはもともと中国の輸出の繁忙期で、多くの外資系企業がこの機会をとらえて大いに働こうとしていた。そのような折りに感染症がぶり返したため、中国の輸出への影響を考えないわけにはいかない。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の高凌雲研究員は、「感染症のぶり返しが中国の輸出に打撃を与えるかどうかは、各国がどのような対応措置を取るかによって決まる。『都市封鎖』や『国境封鎖』などの厳しい対策が再び取られることがなければ、中国の輸出はそれほど大きな影響を受けない」と述べた。
商務部(省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、「感染症ぶり返しが深刻な国が中国の主要な輸出市場であり、かつこうした国々が再び厳しい防疫措置を取って人やモノの流れを制限したなら、中国の輸出は厳しい試練に直面することになる。主要輸出市場の感染状況が比較的落ち着いていたなら、中国の輸出が安定に向かい好転する流れが今後も続くことになる」との見方を示した。
中国にとって主要な輸出市場は米国、欧州、ASEANだ。公式のデータによると、今年1-8月の中国から米国への輸出額は1兆8700億元(1元は約15.7円)に上り、対欧州連合(EU)輸出は1兆7200億元、対ASEAN輸出は1兆6400億元だった。
現在、EUの一部の国は防疫措置を強化している。スペインの首都マドリードとマドリード州は15日間の緊急状態に入り、通勤、通学、医療機関の受診など正当な理由がなければ封鎖された都市・村を出入りすることは認められない。フランスもパリと近郊3州の感染症警戒レベルを最高に引き上げたと発表した。
アナリストは、「感染症がグローバル経済に与えた深刻な打撃を踏まえ、各国は経済がより大きな困難に見舞われることを回避するため、防疫と経済の間でバランスを取ろうと力を尽くしており、極端に厳しい対策措置が打ち出される可能性も小さくない」との見方を示す。
しかしクレディ・スイスの陶冬・取締役社長は、「たとえ各国が人の流れとモノの流れを厳格に制限する措置を取らなくても、感染症のぶり返しが人々の収入や消費に対する信頼感に影響を与え、ひいては海外の需要を抑制し、中国の輸出の足を引っ張ることになるだろう」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月12日