南京大学光熱調整センターが9日に明らかにしたところによると、同センターは新材料を開発し、放射冷却の原理を利用し環境の気温を5−7度下回る冷却効果を実現した。関連成果はこのほど、国際的な学術誌「ネイチャーナノテクノロジー」に掲載された。新華社が伝えた。
論文の共同筆頭著者で、南京大学修士課程生の李朶氏によると、新材料の学名は「ポリマーナノファイバー(es-PEO)フィルム」。研究チームはミクロレベルの階層設計を通じ、材料に効率的に太陽光を反射させるとともに、放射を通じ散熱させた。
論文の連絡著者で、南京大学教授の朱嘉氏によると、これまでは材料と生産技術の制限を受け、多くのポリマー材料の放射帯域が中赤外帯域全体に跨っていた。外に熱を放射すると同時に、材料そのものも熱を吸収し、散熱効果が理想的ではなかった。
朱氏は「ポリエチレンオキシド(PEO)の化学結合の振動のピークと熱放射の主要帯域・ルートが重なることが分かった。分かりやすく言えば、PEO材料は熱を出すだけでそれを取り込まない」と説明した。
理論計算の結果に基づき、チームはPEO材料に極力太陽光を反射させるミクロ構造を設計した。そして伝統的なエレクトロスピニング工法を改良し、「巻対巻」の繊維収集方法を採用することで、マクロスケールのes-PEOフィルムを製作した。
南京大学光熱調整センターの朱斌博士は「『巻対巻』とは一巻きの薄いプラスチックもしくは金属の上でナノレベル材料を大量生産する工法で、伝統的な織物の生産プロセスに似ている。その最大の特徴は低コストで生産量が高いことだ。試験によると、es-PEOは日照を浴びる中で環境の温度を5度下回る冷却効果を実現でき、夜間であればさらに約7度に達する」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年12月10日