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文化クリエイティブ市場に活気もたらす故宮と天壇のカフェ

人民網日本語版 2021年03月23日16:31

2018年末、北京の人気観光スポット・故宮の神武門外に「故宮角楼(Corner Tower)カフェ」がオープンし、「一度は行ってみたいカフェ」として、多くの若者の間で人気となった。そして、今年の春節(旧正月、今年は2月12日)前、もう一つの文化観光スポットである天壇公園の東門にカフェ「天壇福飲」がオープンした。人民網が各社の報道をまとめて報じた。

「故宮角楼カフェ」や、遼寧省の瀋陽故宮にあるカフェ「莊■(■は口へんに非)」は、入場チケットを購入しなくてもカフェを利用できるのに対して、「天壇福飲」は天壇公園の入場チケットを購入しなければ利用できない。

「天壇福飲」の一押しメニューは、「福」という文字が書かれたカプチーノ「梅花馥郁茶▲(▲は口へんに加)」だ。店内で販売されるコーヒーの紙コップは、赤をベースにしたデザインか、下部が赤、上部が青のデザインとなっており、天命を奉り幸運を承るという意味の「奉天承好運」や何事もうまくいくようにという意味の「万事如意」、勢いが良いことを表す「牛気冲天」など、縁起の良い文字がデザインされている。コーヒーとセットで食べるスイーツも見逃せず、天壇の祈年殿を象ったケーキや「福」の字がデザインされたロールケーキなどがある。

第一財経商業データセンターCBNDataの「2020 ジェネレーションZ消費者の態度洞察報告」によると、ジェネレーションZは、自分のさまざまな趣味サークルのために進んでお金を使うため、こうした趣味のサークルがもたらす関連の消費力が威力を発揮している。そして「中国テイスト」がZ世代の4大趣味の一つとなっている。故宮や天壇などの博物館と景勝地は長い歴史と奥深い文化を誇り、その奥深い素晴らしい伝統文化をどのようにうまく発揚させ、若い世代にそれを理解し、受け入れ、継承してもらうかが、こうした機関がその価値を発揮させるうえで非常に重要な意味を占めるようになっている。

故宮の「角楼カフェ」と同じく、「天壇福飲」をめぐっても、「なぜ、伝統的な文化観光スポットに行ってコーヒーを飲むのか?」や「中国の伝統的な飲み物と言えばお茶があるのに!」など、たくさんの疑問の声が上がっている。「中国コーヒー業界投資分析・今後の見通し報告」によると、消費者の年齢層を見ると、コーヒーの主な年齢層は20-35歳で、コーヒー消費市場の主力軍。コーヒーには元々、ソーシャル的属性があり、天壇公園と若者たちが「社交の場」を作り出し、若者の消費や目新しいことを求めるニーズを満たす良いアイテムとなっている。故宮や天壇のカフェと文化クリエイティブグッズショップは、景勝地にとって重要な役割を発揮し、観光客のニーズを満たすと同時に、独特な情緒漂う社交の場となり、若者たちにとって「一度は行っておきたいカフェ」や「遠くから来た友達をもてなす場」となっている。そのため、天壇のカフェがオープンから1ヶ月もしない間に、人気検索ワードランキングに名を連ねるようになっているのも決して不思議なことではない。

実際には、文化的DNAというのは、天壇や故宮などの文化的観光スポットの真価であり、それは文化クリエイティブなどの関連産業において発展するために不可欠な要素となっている。その点、数年前から、文化クリエイティブの分野で成功を収めている故宮は、さまざまなモデルケースを提供している。例えば、罪を得た後宮の女性が幽閉される場所である「冷宮」の文字が書かれた扁額をモチーフにしたマグネットや上奏文をモチーフにしたノートなどがあり、以前は歴史の物語を伝える堅苦しいイメージがあった故宮は、その厳かで奥深い歴史や人の心の奥深くに訴えかける人物、物語を、個性ある文化クリエイティブグッズとコラボさせ、若者との距離を一気に縮めている。

その奥深い文化的要素を掘り起こし、市場のニーズと組み合わせ、あまり知られていなかったり、難解であったりする文化コンテンツをユニークであったり、ファッショナブルでポップな文化クリエイティブグッズとコラボさせることで、一人でも多くの観光客が見たり、知ったりできるようにするというのが、文化と景勝地の文化クリエイティブ産業が長きにわたって発展する原動力となる。ただ、話題性があるため幸先の良いスタートを切っても、ただ誰かの真似をするだけでは、消費者は目新しさを感じることができない。そのため、伝統的な文化的景勝地のカフェにどのように目新しさを加えるかが、「天壇福飲」がまず解決すべき課題となるだろう。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年3月24日

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