人的資源・社会保障部(省)は今月18日、新職業の第4弾を発表した。これにより、同部は2019年以降に56種類の新職業を発表したことになる。また国家職業標準目録に入っていない多くの新職業が、すでに誕生したか徐々に成熟に向かっている。新職業の魅力は一体何だろうか。実際の状況はどうなのか。今後の発展の可能性や見通しはどうか。そこでデジタル化管理士という新職業について、掘り下げて考えてみた。「経済日報」が伝えた。
転職を繰り返すことは仕事では本来は大きなマイナスだが、黄祖勝さん(35)はその逆を行っている。14年から浙江省義烏市でデジタル化管理に関わる仕事をしてきた黄さんは、これまでに10数社を渡り歩き、転職すればするほど賃金が高くなっていった。年俸はかつての数万元(1元は約16.7円)から現在は35万元まで上がった。以前年俸100万元の仕事を断ったこともある。
19年は黄さんのキャリアにとって特別な意味を持つ年になった。この年の4月、同部が13種類の新職業を発表し、デジタル化管理士もその中に含まれていたのだ。黄さんは今や「釘釘」という名前のデジタル化管理ツールによって、企業数十社の組織的枠組みと人事の構造・管理システム構築のサポートを手がけるようになり、デジタル化総務管理を通じて企業のコスト引き下げと収益増加に貢献している。
黄さんは取材に、「デジタル化管理士は問題を解決するのではなく、問題解決の途中にある。義烏には各種の中小企業が幅広く分布するが、これまでは多くの企業は古いタイプの列車のようなもので、経営者が1人で牽引し、企業のデータを掌握・制御する能力が低く、コミュニケーションのコストが高くつき、倉庫管理がスムーズにいかず、職場のポジションごとの職責がはっきりしないといった一連の問題が存在し、どの企業もデジタル化管理を求めていた」と述べた。
デジタル化管理には顕在ニーズがあり、必然的な流れでもある。19年に新職業に組み込まれて以来、中国でデジタル化管理士の仕事に従事する人は2年足らずで200万人を超えた。特に新型コロナウイルス感染症がデジタル産業化プロセスをさらに加速させた。同部が発表したデータによると、中国のデジタル化管理の従事者は企業のデジタル化モデル転換を担う新勢力になったが、潜在的な人材不足は1千万人に迫るという。
これと同時に、デジタル化管理士の登場は個人のキャリア発展と企業のデジタル化モデル転換における重要な突破口にもなる。同部が19年に発表した「新職業――デジタル化管理士雇用景気現状分析報告」によると、デジタル化管理士の87%は賃金が現地の平均賃金の1-3倍になり、10対1の割合でデジタル化管理士を配置する企業は、配置していない企業に比べて仕事の効率が35-50%高いという。
首都経済貿易大学中国新就業形態研究センターの張成剛センター長は、「デジタル化技術が各業界へと急速に浸透するのに伴って、企業のデジタル化モデル転換のニーズは差し迫ったものになり、デジタル化管理士、オンライン学習サービス担当者、オムニメディア運営士などの新職業が機運に乗じて誕生した。現在の発展状況をみると、こうした新職業の市場には大きな可能性があり、新職業の従事者には市場で大きなニーズがあり、高い賃金が約束され、キャリア発展の可能性も大きく、年収が100万元の人も少なくない」と述べた。
新職業の登場によってもたらされたものは特定の職業だけではなく、生態圏全体が知らず知らずのうちに変化した。新職業の「新」には単に新しい職業の内容が含まれるだけでなく、新しい職業のスタイル、新しい雇用関係などもその中に体現されている。デジタル化管理は企業がデジタル化した組織を構築し、人材配置を最適化するのをサポートし、生産・製造プロセスをより現代化させ、従業員の働き方をよりフレキシブルで多彩にしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年3月23日