雲南省森林消防員が14日午前、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)のメイン会場を訪れ、西双版納(シーサンパンナ)・傣(タイ)族自治州の生息地を離れ、北上して話題となったアジアゾウの近況について説明した。その映像を見ると、各地を「食べ歩き」した「短鼻ファミリー」は、少しぽっちゃりとしていることが見てとれた。北京日報が報じた。
2020年3月、シーサンパンナ・タイ族自治州で生息していたアジアゾウ15頭の群れが北に向かって移動し始めた。そして、数千キロにわたる移動の末、17ヶ月経った今年8月に、エサにつられて、生息地に向かってゆっくりと南下するようになった。アジアゾウも人間と同じで、その容貌は個体によってそれぞれ異なり、「短鼻ファミリー」のうちの1頭の鼻は、他のゾウよりも少し短い。中国科学院昆明動物所の李維薇シニアエンジニアは、「ゾウの群れを識別しやすいように、保護区の職員はこの群れを『短鼻ファミリー』と命名した」と説明した。
「短鼻ファミリー」が「食べ歩き」を続ける中、雲南省森林消防総隊野生アジアゾウ捜索モニタリングミッションググループは、24時間体勢で見守りを続け、横になって眠るかわいいゾウの写真撮影をきっかけに、ネットユーザーからは、「最も素敵なゾウ追跡チーム」と呼ばれるようになった。現在、「短鼻ファミリー」はすでに生息地近くに戻っているため、モニタリングは頻度こそ以前に比べれば減ったものの、今も続けられている。
ここ数ヶ月、同グループのメンバーは、「短鼻ファミリー」が移動しながら、各地でエサを「食べ歩く」様子を目の当たりにしてきた。同グループのグループリーダーである楊翔宇さんは、「普洱市に来てから数日の間に、『短鼻ファミリー』のおなかが大きくなり、少し太った。この群れには子供ゾウが1頭おり、以前はその背丈も人間よりも小さく、常に母ゾウの足元に隠れるようにして歩いていた。しかし、今では大きくなり、単独で行動し、エサを食べたり、遊んだりしてから、群れに戻るということもある」と説明する。
アジアゾウが訪れた地域の人々は、「ゾウがきた!縁起がいい!」と声を上げ、大喜びしていた。また、政府から事前にゾウが移動してきた場合の対応の仕方や補償について説明されていたため、ゾウが畑を荒らしたり、サトウキビを食べたりしても、怒る農家はなかったという。
ずっと追跡を続けるうちに、チームのメンバーは象が人間との間に良い関係を築き始めたと感じるようになったという。楊さんは、「ゾウは少しずつ人間を信頼するようになった。初めは人間が与えるエサは食べなかった。しかし、しばらくすると、与えたエサをすぐに鼻で持ち上げて食べるようになった。今回、普洱でモニタリングしていた際、30年も姿を消していたマーブルキャットの姿も確認した。玉渓市の職員によると、マクジャクの個体数も増加しており、それらはヒトと自然が調和よく共存していることの証だ」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年10月18日