今年のG7サミットで、中国は案の定、再び重要な「その場にいない客」となった。報道によると、G7は中国の「一帯一路」(the Belt and Road)イニシアティブに対抗するため、今後5年間で6000億ドル(1ドルは約135.1円)を調達して、「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」を推進する。
実は、昨年のG7サミットでも「Build Back Better World (B3W)」という世界的インフラ支援構想を打ち出し、40兆ドルの大きなビジョンを描いたが、1年経っても具体的進展は見られなかった。今年の新構想は、見たところ多少は緻密なところのある「戦略上のパッチ」に過ぎず、その空疎さは覆い隠し難い。
北京第二外国語学院の宋文龍講師によると、第1に、「PGII」は動機が不純で「有名無実」だ。スローガンは高らかだが、具体的に「何を建設するのか」についても、「どう建設するのか」についてもプランがなく、相変わらず「空手形を切る」やり方のままだ。ましてや、米国は国内のインフラ整備も厳しい状況なのに、どうやって他国を支援するというのか?政治的意義が現実的意義を上回っているのは明らかだ。G7が打ち出したPGIIの出発点は中国の「一帯一路」イニシアティブへの対抗であり、自らを救うために多くの発展途上国の発展上の権益を略奪することが真の目的だ。このように悪巧みを胸に秘めながら、精一杯「気前が良い」姿を示そうとするのは、実に滑稽だ。そして「狭隘、傲慢、対抗」という「小集団」的思考がはびこり、「価値観優先」という常套手段に陥っているプロジェクトは、「開放、対等、包摂」というインフラ協力の持つ意味とはなおさらに対極にあるものだ。
第2に、その資金調達は「米なしで飯を炊く」ように難しい。6000億ドルは誰が提供するのか。「富裕国クラブ」は様々な要因による打撃を受けて、国内政治も外交も行き詰り、厳しい財政状況にあり、他国を顧みる余裕はない。民間企業に頼って大規模投資を行うバイデン大統領の考えは、なおさらに不確実性が高い。ましてや、G7が決して見かけほど結束していないことは、言うまでもない。例えば、米国、英国、カナダという強硬な対抗派と比べ、EU3ヶ国は「一帯一路」の恩恵も受けており、排他的な新インフラ構想は自国の利益を損なうため、やや躊躇しているように見える。このような状況でも、各国は本当に金や力を出すだろうか?
第3に、発展途上国はこれを受け入れておらず、恐らくどの国も取り合わないだろう。インフラプロジェクトという「買い手市場」においては、選択権は多くの発展途上国の手中にある。西側諸国はまだ植民地主義の夢想から目覚めていないらしく、強い立場から支援を「施す」ことに慣れており、対等な立場から発展途上国が真に求めているものを理解したことがない。バイデン大統領の打ち出した「ジェンダーの平等と公平」「気候とエネルギーの安全保障」という投資の方向性を見ると、このインフラ計画は西側の一方的願望の構想に他ならず、発展途上国の最も差し迫った、最も本当の現実的ニーズでは決してない。西側の支援はすでに一部の発展途上国に「口先だけで実行を伴わない」という悪印象を与えており、様相を一新しただけの構想で、より多くの信頼を勝ち取ることは難しい。
「PGII」について、中国外交部(外務省)報道官は27日、「中国はグローバルなインフラ整備を促進するあらゆるイニシアティブを歓迎しており、各種のイニシアティブの間に互いに取って代わるという問題は存在しない。しかし、インフラ整備を旗印に掲げて、地政学上の目的を推し進め、『一帯一路』イニシアティブのイメージを毀損し、中傷する言動には反対する」と述べた。中国は、国際法に沿った取り決めやメカニズムに代わって特定の国や国家集団の定めた「小集団」のルールを用いる企てに反対し、協力の名の下に分断や対立を進めることに反対する。
「一帯一路 」イニシアティブが西側から非常に重視され、ターゲットとされていること自体が、実は中国の戦略的方向性が正しく、効果を挙げていることを物語っている。来年のG7サミットでは、新たな反中国的議題や中国と発展途上国との関係を裂く計画が飛び出すかもしれないが、中国が戦略的揺るぎなさを保ち、人類共通の幸福に真に有益な行動を堅持しさえすれば、世界の人々は自ずと優劣と虚実を判断するはずである。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年6月29日