ここ数年、海洋牧場の建設が絶えず推進され、海洋漁業の持続可能な発展を後押ししている。現代の生産技術を利用して海を「耕し」、魚を「放牧し」、現代化海洋牧場の建設に力を入れており、中国の広い海域を「青い食料倉庫」に変えつつある。同時に、各地は海洋観光や海洋レジャーなどの産業が融合的に発展するモデルの開拓を進め、「牧場+スポーツ+観光」といった複数の産業が融合的に発展する海上複合体を創り出している。
海の「青い食料倉庫」とは?
水産資源の増大を実現するため、中国の科学者は20世紀中頃から「海洋牧場化」の理念を打ち出した。これには、「水が魚類の牧場」、「海を海藻・貝を育てる農場にし、魚・エビを育てる牧場にする」といった内容が含まれる。海洋牧場はエコ型の漁業方式で、海洋生物の繁殖に適した海域で人工魚礁の投入・建造などを通じて魚の生息する場所を作り、生物の種苗生息に適した環境を作り出す。それから、人工的に育てられた生物の種苗を海中に放流する増殖放流を行い、生物が海洋中の天然のエサを食べるようにする。こうすることで、海洋漁業の資源生物の量を増やすという目的を達成しており、海の「青い食料倉庫」と称えられている。
増えつつある「青い食料倉庫」
中国式現代化は人口規模が極めて大きな現代化であり、食料問題を解決するには、限られた耕地だけに目を向けているわけにはいかない。中国の海域の総面積は約473万平方キロメートルあり、広い海には非常に大きな食物資源のポテンシャルが潜んでいる。データを見ると、中国の水産物の年間生産量は6500万トン以上を保ち、長らく世界一の座にあり、1人あたりでは45キログラムを超え、世界平均の2倍になる。「大食物観」の視点で見ると、広い海は「青い食料倉庫」であり、豊かな牧場だ。海を「耕し」、魚を「放牧し」、「青い食料倉庫」を着実に建設することは、多様化した食物供給システムを構築する上での必然的な要求であり、また中国の食料問題を解決するための重要な措置でもある。
海洋牧場の建設について、中国は明確なロードマップを作成した。「水生生物資源保護の強化に関する指導意見」によると、2025年に国家級海洋牧場モデルエリア200ヶ所前後が建設される予定だ。ここ数年間で、初の海洋牧場建設の国家標準が打ち出され、「近海グリーン養殖配置の最適化、海洋牧場の建設、持続可能な遠洋漁業の発展」が第14次五カ年計画(2021-25年)と2035年までの長期目標綱要に組み込まれ、海洋牧場建設はスピーディかつ安定的に進められている。現在、全国に建設された海洋牧場は300ヶ所以上あり、広大な海に1ヶ所また1ヶ所と「青い食料倉庫」が建設されている。
様々な効果が顕在化
中研普華産業研究院の「海洋牧場産業研究コンサルティング報告」によると、ここ数年、海洋牧場産業は15%を超える成長率を維持し、急速な成長を遂げ、力強い発展の能力を備えるようになった。2019年の同産業の売上高の前年同期比成長率は約18.49%だった。海洋牧場は急成長産業であり、21世紀に入ってから、国と沿海省(自治区・直轄市)がその発展を力強く支え、これまでに多くの支援政策が相次いで打ち出され、産業の質の高い持続可能な発展が後押しされてきた。
融合的に発展する海上複合体を建設
海洋牧場の建設は「食料倉庫の建設」にとどまらない。各地は海洋観光や海洋レジャーなどの産業が融合的に発展するモデルをさらに開拓し、複数の産業が融合的に発展する「牧場+スポーツ+観光」海上複合体を創り出してきた。
山東省栄成市にある海洋牧場には毎年10万人の観光客が訪れ、同市の「海の銀行」と呼ばれている。尋山愛倫湾海洋牧場には、養殖やレジャー、観光が一体化したレジャー漁業観光プログラムがあり、中国の第1陣の国家級海洋牧場モデルエリアとなっている。主な事業・アクティビティは微細藻類の養殖、海洋牧場関連の展示、体験館での見学体験、遊覧ボートでの観光、海上大型娯楽プラットフォーム、レジャーフィッシング、海の特色を生かした飲食などで、繁忙期には1日で3000人以上の観光客を受け入れている。
また、同省青島市では海釣りのブランド「漁夫垂釣(漁夫が釣り糸を垂れる)」を積極的にPRし、全国レジャー海釣り招待試合及び全省レジャー海釣り拠点PRイベントを開催した。現在、全国には国家レベルのレジャー漁業モデル拠点が11ヶ所、省レベルのレジャー海釣り拠点が17ヶ所ある。
20年7月10日に開業したスマート化海洋牧場「耕海1号」は同省煙台市の10大海洋牧場モデルプロジェクトの1つであり、全国初のスマート化多機能エコ海洋牧場生態海洋牧場複合体プラットフォームだ。海から煙台のランドマークを観覧する海洋レジャー文化観光プログラム「海上看煙台(海から煙台を眺める)」に力を入れ、レジャーフィッシングと海洋観光を融合させ、「青い食料倉庫+青い文化観光」のレジャー体験をより豊かなものにしている。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2023年5月11日