大安全保障観でアジア・パラドックスを解消 (2)
まず、国内の安全と国際的な安全の区別が難しくなった。金融、情報分野のセキュリティ問題は国内問題であると同時に、国際問題でもある。新疆などのテロ事件も単なる国内問題ではない。一言で言えば、経済のグローバル化が安全のグローバル化という試練をもたらしたのだ。
次に、伝統的安全保障と非伝統的安全保障の区別が難しくなった。海上安全保障の問題は伝統的な島嶼領土紛争もあれば、テロなど非伝統的なものもあり、旧来の伝統的安全保障と非伝統的安全保障という区別は時代遅れかも知れない。
また、安全の防備と維持の区別が難しくなった。サイバーセキュリティが典型的な例で、サイバー攻撃への防備という難題もあれば、サイバー空間の開放、安全、自由を維持するという矛盾もある。
最後に、安全の脅威源と安全ガバナンスの区別が難しくなった。伝統的な猫とネズミのゲームでは役割も論理も明確だった。それが今や、サイバーテロなどによって、安全の脅威源と安全管理メカニズムが一層複雑化、多元化したことが示されている。
時代の変遷を念頭に置き、中国は大安全保障観をタイムリーに提唱すべきだ。これは次の柱からなる。