精神的に強いのは男性？女性？

　この世には男性と女性がおり、与えられている役割も異なる。そして、それぞれに長所と短所がある。心の知能指数（EQ）の面では、一般的に女性のほうが数値が高いと考えられがちだが、ある研究では、そうとも限らないことが分かっている。また、「勇気」という面でも、男性のほうが女性より優れているというわけでもないという。ただ、男女問わず、精神的に強い人が、社会の中でリーダーを務めるのに向いているというのは確かだ。心理学者の男女の精神的能力の比較を通して、人間性をさらによく理解することができる。広州日報が報じた。

女性は感情的で男性は理性的

　EQの提唱者で、世界でベストセラーとなった「EQ--こころの知能指数」（1995）の作者・ダニエル・ゴールマン博士は、「EQは、成功、しいては幸福のためにとても重要」と考えている。EQの測定では、▽自己感情の認知▽自己感情の調整▽他者の感情の理解▽人間関係の管理---の4つの技能が測定される。ほとんどのEQ測定結果は、女性のEQは男性より高いことを示している。しかし、これだけで簡単に結論付けることはできない。例えば、「他者の感情の理解」では、女性の得点が男性より高いのに対し、「自己感情の調整」では、男性の得点のほうが高い。また、これらは「平均値」であって、一個人となると例外もたくさん見られ、一概に言うことは決してできない。

　「他者の感情の理解」の分野の「共感（感情移入）」も複雑な分野だ。ゴールマン博士は、「共感には、他者がどのように問題を見ているかを理解することや他者の感情を感じることが含まれ、助けが必要な人にいつでも助けを提供できる能力」としている。この点では通常、女性のほうが秀でている。例えば、女性は他者と良い関係を築くことに長け、「恋愛」にも敏感だ。

　神経科学者は、「共感」は大脳の島皮質の機能に対応し、誰かに感情移入すると、大脳はその気持ちをシュミレーションし、島皮質がその法則を分析することを発見している。そして、誰かが落ち込んでいたり、困ったりしていると、女性は影響を受けやすいのに対し、男性の大脳は同じ感覚を受けても、すぐに感情を横にやり、大脳のほかの部分を刺激して問題解決を試みるという。「男性は感情に乏しい」と、女性が不満をこぼすのに対し、「女性は感情的過ぎる」と男性が不満を言うのはこれが原因だ。ゴールマン博士は、「男女のEQの特徴は、どちらかが優れていることを示しているのではなく、それぞれに長所があることを示している」との見方を示す。例えば、男性は自分のマイナスの感情を封じることができるため、他者がひどく落ち込んでいても冷静に対応し、緊急を要する問題を解決することができる。一方、女性は感情に浸ることができるため、他者が落ち込んでいる時に、守ったり、応援したりしてあげることができる。

　「共感」に長けている人は、アドバイザーや教師、チームリーダーなどに向いている。なぜなら、他者のいかなる反応をも感じ取ることができるからだ。米国のある心理学者は多くの傑出した商業界のリーダーを対象に研究を実施し、男女にEQの差はなく、男女とも優秀で、どちらかが上まっていることはないことを発見した。また、あるゴリラを対象にした研究でも、同様の法則が発見されている。あるゴリラが傷つき落ち込んでいる場合、群れのメスがオスより背中をさすってあげるなど慰める動作を多くする一方、群れのボスであるオスゴリラは例外で、メスよりも数多くの慰める動作をしたのだ。つまり、人間にしろ、動物にしろ、リーダーには高いEQが必要なのだ。

勇気

実は女性のほうが勇敢

　何かを恐れたり、おびえたりしている時に、アクションを起こすには「勇気」が必要だ。「勇気」は男性の長所と思われがちだが、実際にはそうとは限らない。米ポートランド州立大学の心理学者は、「勇気には、火の海に突っ込んでいくような偉大な行為だけでなく、新しい都市に引っ越したり、新しい仕事に変えたり、新しい事業を興したり、子供を産むかを決めたりなど、日常生活のさまざまな事も含まれる」と指摘している。この定義からすると、女性のほうが勇気を示す機会が多い。

　ある学者は、第二次世界大戦中のナチスの大量虐殺の際にユダヤ人を救出したり、腎臓を提供したり、体を張って誰かを助けたりなどの勇気ある行為における、男女の違いを研究し、多くの項目で女性のほうが男性より優れていることを発見した。例えば、腎臓を提供する人の60％が女性だ。一方の男性が女性よりも優れているのは、「体を張って誰かを助ける」という項目だけだった。