日本の「産業競争力強化法案」 産業の新陳代謝を (2)
供給過剰を是正し、製品のイノベーションを加速するにはどうしたらよいか。日本企業が直視すべき問題はこれだ。同法案は法人税の優遇制度をうち出しており、企業の再編では新会社への出融資額の最大70%を損金に算入できるようになり、法人税が増えにくくなり、他社との統合で法人税の課税対象所得が増えるのを防ぐことができる。政府は主要産業の生産力の実態を調査して公表することを予定する。企業の新規事業の奨励をめぐり、同法案の規定では、特別措置が適用される「企業特区」を設立し、医療産業などの参入ルールを明確にし、国立大学法人によるベンチャーへの出資を特例で認めるとしている。
産業競争力の強化は、安倍晋三首相がうち出した経済政策「アベノミクス」の成長戦略をめぐる重要な柱だ。金融緩和と公共投資の増加を受けて、ここ数カ月の日本経済はこれまでにない安定の兆しをみせている。だが日本経済が引き続き回復に向かうかどうかは、実体経済の振興と民間投資を喚起する市場環境の創出にかかっている。
東京大学の伊藤隆俊教授によると、これからの12カ月間でアベノミクスの成否が決まる。最も重要なことは既得権をうち破り、構造改革を進めることで、労働力市場、農業、医療・保健、エネルギーの改革がカギを握る。労働力市場をみると、日本の労働力人口は2010-30年に現在の約18%に当たる1280万人が減少する見込みで、日本にとって子育てしやすい環境を整え、女性の就業を奨励することが今後の課題になる。