数10年前の米核実験でマーシャル諸島の放射線量は福島以上

人民網日本語版 2020年01月08日14:06

米紙ロサンゼルス・タイムズは長編調査記事「米国はいかにしてマーシャル諸島を裏切り、次の核による惨事に火を付けたのか」を掲載した。

数10年前に米国が大々的に実施した核実験が、太平洋中部のマーシャル諸島に終わりなき災禍をもたらしているとの報道が国際社会の注目を集めている。米紙ロサンゼルス・タイムズによると、1946年から1958年までの間に米国はマーシャル諸島で大量の核実験を行なったうえ、放射能に関する重要情報を隠してきた。当時放射能汚染物質を埋めた「石棺」は気候変動に伴い、すでにひび割れが生じており、汚染物質流出の危険性が高まっている。マーシャル諸島政府は過去何回も米国と交渉して支援を求めたが、拒絶された。

専門家は人民網の取材に「マーシャル諸島の住民にとって、米国による大量の核実験が残した潜在的危険は軽視できないものだ。国際法理・道義上も、経済・技術上も、米国にはかつて実施した核実験の責任を負う義務がある。もしこの『訴訟』に公訴期間があるのなら、それは無限であるはずだ」と指摘した。

■米国は核実験を67回実施 汚染は数百年続く恐れ

マーシャル諸島共和国は太平洋中部に位置する、大小1200の島嶼からなる島国だ。1947年に国連によって米国の信託統治領となり、1986年にマーシャル諸島共和国として独立した。北西部のビキニ環礁とエニウェトク環礁は最も広いため、米国の核実験場に選ばれた。1946年に米国はビキニ環礁に入り、住民を銃砲で脅して200キロ離れた島嶼へ移送したが、核実験の意図は告げなかった。

米メディアによると、1946年から1958年までの間に、米国はマーシャル諸島で核実験を計67回実施。爆発は、いくつかの島々を直接的に消失させ、多くの人々が故郷を追われた。放射能にさらされた島民には脱毛、嘔吐など深刻な被爆症状が生じ、周辺の島々の住民数10人が短い間に癌や白血病で命を落とした。

核実験終了後、米国は放射能汚染物質を埋め、コンクリートの構造物で密封した。ロサンゼルス・タイムズの調査報道によると、米側はかつてマーシャル諸島で生物兵器の実験も行なったほか、ネバダ州の核実験場で放射性物質に汚染された土壌130トン以上をここに廃棄した。

2019年7月にコロンビア大学のプロジェクトチームは、マーシャル諸島の一部島嶼で放射線量が上昇していることを確認。チェルノブイリや福島の放射性物質漏洩地区近辺の土壌よりも高かった。

専門家は、こうした放射線の人体への影響にはランダム性があるが、現地の住民にとって潜在的危険性は軽視できないと指摘する。

「核爆発によるエネルギー放射は巨大であり、核実験が現地の住民や生物に与える危害は主に瞬時の光熱放射、衝撃波、粒子放射、及びその後長く続く放射性物質による汚染だ」と、中国科学院核エネルギー安全技術研究所の呉宜燦所長は指摘。

呉氏によると、米国の科学者の計算では、1946年から1958年の間にマーシャル諸島で実施された67回の核実験のうち、最大の水爆はTNT換算で広島型原爆の1000倍以上の15メガトンにも達した。コロンビア大学が今年7月に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した研究によると、マーシャル諸島での核実験で生じたクレーターでは、プルトニウム(239,240)、アメリシウム241、ビスマス207の放射線量が自然状態より数スケール高く、長寿命の放射性核種による汚染は数世紀続く恐れがある。

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