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新型肺炎で自律的景気後退か? 感染症と経済の二重の試練に直面する日本

人民網日本語版 2020年02月21日14:33

日本国内で19日、新型コロナウイルスによる肺炎と診断された患者が累計705人に上り、このうち「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客・乗員が621人、日本国内の感染者は84人となっている。日本の共同通信社が16日に発表した世論調査の結果では、新型肺炎が日本経済に与える影響について、「懸念している」または「ある程度懸念している」との回答が82.5%に達した。一方で、日本の内閣府がこのほど発表したデータでは、消費税率引き上げと台風の被害により、日本の2019年第4四半期の経済成長率は約6年ぶりに大幅に縮小した。経済学者の間では、「新型肺炎による影響の中、日本経済は今年第1四半期も縮小傾向が続く」との見方が一般的だ。2四半期連続の縮小は、日本経済が自律的景気後退のリスクに直面することを意味する。日本は今、感染症と経済という二重の試練に直面している。

エスカレートしている感染状況

日本政府は感染状況のエスカレートを踏まえ、2月23日に予定されていた天皇の60歳の誕生日の一般参賀を中止した。これと同時に、専門家は国民には不要不急の外出を控え、政府と企業にはインターネットを利用したテレワーク、時差出勤などの措置を取って、感染の確率をできる限り引き下げるよう呼びかけている。このような動きはあるが、多くのメディアや専門家が日本政府の「対応の遅れ」を批判している。

日本の世論の批判のポイントは、患者数が数十人という数字の背後に、人々に不安を抱かせる一部の細かい出来事や傾向が存在するところにある。

第1に感染それ自体への不安がある。短期間で患者数が急増し、広い地域に分布している。

第2に国内の感染状況の複雑さへの不安がある。感染者の接触歴や感染経路がはっきりしない患者が増え、方向性を絞った対策が困難になった。

第3に日本政府の感染症対策に必要な物資の備蓄は十分でなく、資源が不足していることへの不安がある。日本は中国を支援し、民間と地方自治体の一部がマスクをはじめとする多くの医療物資を中国に送ったが、今は日本自体も物資の不足に直面する。日本の厚生労働省がまとめた統計では、日本国内の医療機関が一ヶ月に必要とするマスクは約1億枚だが、このうち70%は海外で生産されている。医療用のN95マスクはほとんどが中国で生産されており、日本の国産マスクも原料は中国への依存度が高い。今は中国自体も物資不足で、日本への輸入は滞っている。医療資源の不足はたちまち日本の感染対策における難問となった。ベッド数の問題もある。日本の医療専門家は、「今、日本全国には感染症病室のベッド数が約1800床しかない。軽症の患者まで入院すれば、ベッドはすぐにいっぱいになる」と説明した。

日本の現状に心を痛める中国のネットユーザーが多い。2月17日、日本から各種支援物資を満載したチャーター機の第5便が武漢に到着すると、中国のネットユーザーは在中国日本大使館の微博(ウェイボー)に次々とメッセージを送り、日本の支援に感謝しつつも、「もう中国には送らないで、自分たちのために残しておいて」とのメッセージを残した。同じ日に、中国外交部(外務省)の耿爽報道官は、「中国は自国の感染状況との戦いに努力すると同時に、日本と情報や経験の共有を進めていきたい。また日本側の必要に応じて、力の及ぶ限り日本への支持と支援を積極的に提供していく」と述べた。

新型肺炎は日本経済にとって「最大の不確定性」

日本政府が懸念するのは、悪化する可能性のある新型肺炎だけではない。新型肺炎がエスカレートして経済に与える影響を最も懸念する。

日本内閣府が17日に発表した速報値のデータによれば、2019年第4四半期の国内総生産(GDP)は年率換算でマイナス6.3%となり、予測されたマイナス3.7%や前期の1.8%を大きく下回った。日本経済にとって14年第2四半期以来の大幅な減少でもある。

分析によれば、日本経済の落ち込みはさまざまな要因が重なり合ったためだ。台風や豪雨といった自然災害の影響だけでなく、19年10月に消費税率が8%から10%へ引き上げられたことがあり、政府は経済への打撃を緩和するためにさまざまな措置を取ったが、それでも消費は目に見える打撃を受けた。直近の消費減少幅は14年4月の消費税率引き上げ後のマイナス4.8%は下回ったが、08年に世界金融危機が日本の消費者に打撃を与えた時の数字は上回った。14年の消費税率引き上げのダメージから回復したのは13ヶ月後のことで、目下の消費の減少傾向も短期間での回復は難しいとみられる。また米国が発動した貿易摩擦が国際貿易に深刻な影響を与え、日本の輸出も巻き添えを食っている。

目下の新型肺炎の感染状況が、日本経済にさらなるダメージを与えた。

新型肺炎が日本経済に与える最も直接的な影響は、インバウンド観光客の減少、とりわけ中国からのインバウンド観光客の減少だ。観光業と周辺業界が真っ先に打撃を受ける。中国は日本にとって最大の観光客送り出し国であり、日本のインバウンド観光客の30%以上を中国が占める。共同通信社の報道によると、今回の新型肺炎の影響により、日本の1-3月の観光業の収入は13億ドル(約約1456億円)減少する見込みという。

感染は日本で拡大の兆しをみせており、日本のインバウンド観光収入への影響だけでなく、日本の実体経済への影響も徐々に顕在化している。日本の安倍晋三首相は最近、「(新型肺炎の)観光業と地域の中小企業への大きな影響を感じ始めている」と述べた。「日本経済新聞」中国語版の報道によると、日本企業の多くが相次いで、「新型肺炎の影響によって、当社の生産チェーンも物流チェーンもみな影響を受けており、20年の営業収入予測を大幅に引き下げ調整した」としている。また新型肺炎により外出の機会が減ったことで、日本の消費者のすでに低迷気味だった支出がさらに抑制される可能性があるという。

上海対外経貿大学日本経済研究センターの陳子雷センター長(全国日本経済学会副会長)の予想では、「日本経済は今年第1四半期は昨年第4四半期以来の縮小傾向が続き、上昇サイクルから衰退サイクルへ移行するリスクがある」と述べた。今月のブルームバーグ社の調査に協力した経済専門家も同じような見方を示し、14人の専門家のうち、「日本の今年第1四半期の経済はさらに縮小する」とした人が9人に上った。

日本政府はより積極的な財政政策を取って経済の下ぶれリスク、国際的な公衆衛生上の緊急事態、消費税率引き上げの影響に対処すれば、金融政策は相対的に安定し、超緩和政策は持続し、短期間で変化することはないと予想する。日本銀行(中央銀行)の黒田東彦総裁は、「新型肺炎は経済にとって最大の不確定要因だ。リスクが増大すれば、少しもためらわうことなく緩和を拡大する。財政措置は経済成長率予想の引き上げにプラスになる」と述べた。

全体として言えることは、中米の貿易関係と米日の貿易関係が緩和されれば、日本経済の回復にとって大きな牽引力になるということだ。しかし国際的な公衆衛生上の緊急事態の影響の下、世界の需要は減少しているため、貿易情勢がもたらす経済振興の効果は相殺されるとみられる。こうした背景の中で、方正中期先物取引有限公司のアナリスト史家亮氏は、「20年の日本経済は前年比0.5%成長する可能性が高い」と述べた。国際的格付け機関のムーディーズの予測では、「日本の今年の経済成長率は0.3%にとどまるだろう」としている。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年2月21日

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