微博(ウェイボー)の検索ランキングにこのほど、「中国人女性が東京の街中でマスクを無料で配布」と題する動画がランク入りした。動画を見ると、鹿の着ぐるみ姿の女性がマスクがいっぱい入った段ボール箱を持って街中を歩き、無料でマスクを配っている。段ボール箱には日本語で「武漢からの恩返し」と書かれている。湖北日報が報じた。
25日、この女性を取材したところ、中国の福建省から日本に来て10年になる曾穎さんであることが分かった。
早稲田大学を卒業した曾さんは今、東京に住んでおり、ベンチャー企業を経営している。
「この10年、中国人観光客と日本の企業のおかげで、私と会社の仲間たちは東京で良い暮らしができている。しかし、新型コロナウイルス感染が拡大して以来、中国人観光客は激減し、私の会社も大打撃を受けた」と曾さん。
テレビのニュースで武漢の状況を見て、居ても立っても居られなくなった曾さんは、クライアントに連絡し、武漢を援助してもらいたいと伝えたものの、それらクライアントからの返事は、「公にしていないだけで、もうすでに武漢に援助物資を送った」だったといい、とても驚かされたという。そして、クライアントの口から「恩返し」という言葉を聞いた。「クライアントは、『大きなビジネスができているのは、中国市場と中国人観光客の支持があるにほかならない。だから、すぐに武漢に物資を寄付し、恩返しをした』と言っていた」という。
その後、ウイルス感染は日本でも拡大し、日本国内の医療物資も日に日に足りなくなってきているのを目にした曾さんは、「中国では、『桃をもらったら李(スモモ)をもってお返しをする』という礼儀を学んだ。そして、日本での生活の経験から、『何か良いことをする時は、恥ずかしがる必要はない』ということを学んだ。だから、中国を助けてくれた日本人を助けたいと思った」と話す。
曾さんは、海外のサイトで自費でマスクを500枚購入し、さらに、ある中国人女性企業家の助けを借りて、マスク1000枚を調達した。
東京の街中でマスクを配り、印象深かったことについて、曾さんは、「たくさんの日本人が両手でマスクを受け取り、中国語で『ありがとう』と言ってくれた。また、マスクを受け取って、写真を撮ると、『自分は間に合っているから、必要な人にあげてほしい』と言って、また返してくれた人もいた」と振り返った。
その日、曾さんは4時間で、マスク1000枚を配りきった。その4時間、ずっと段ボールを抱えていたといい、「私は武漢を誇りに思っているので、誰かが写真を撮る時に、『武漢からの恩返し』という文字が見えるようにしたかった」と話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年2月27日