ネットで話題の「ワーカー」って?働く自分にエール?それとも社畜の自虐ネタ?

人民網日本語版 2020年10月23日16:01

「ワーカー、ワーカー魂、ワーカーは偉大なり!」。中国のネット上では最近、「打工人(ワーカー)」が人気ワードとなり、各種書き込みやSNSステッカーが大人気となっている。そして、友達とチャットをする時も、「やぁ、ワーカー!」とまず挨拶するのがトレンドになっている。中国新聞網が報じた。

微信のスクリーンショット

ここで言う「ワーカー」は、肉体労働や技能労働などに携わる人の総称。建設現場でレンガを運ぶ作業員も、オフィスで働くホワイトカラーも、中間管理職の人も、起業者も、「ワーカー」を自称できる。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

「ワーカー」には一連の際立った特徴がある。それは例えば現実に対する冷静な認識であったり、ひいてはなぜ働くのかまで彼らにはしっかりとした理由がある。

そして、それは「労働宣言」の中で、「生活における苦痛の80%は仕事が原因。でも、もし働かなかったら、苦痛の100%は金が無いことが原因になると知っている。だから、『仕事』と『金が無い』の2択から、仕事を選んでいる」と示されている通りなのだ。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

「ワーカー」は仕事に対して非常にポジティブで、朝から晩まで一生懸命働き、疲れ知らずで、遅刻も早退もしない。また、「ワーカー」は鉄のように固い意志と熱い情熱を抱き、休みなんて無くても気にしない。

「ワーカー」にとって、働くことはなにも恥ずかしいことではなく、大変ではあるが、時には自分の価値を見いだす重要な手段であり、自らを励まし、自立するための志となる。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

こうした考えは、自分へのエールであると同時に、社畜である自分を皮肉っている自虐ネタという面もあるかもしれない。「ワーカー」になる前は、誰もが夢を抱き、明るい未来を描いていたはずだ。しかし結局は、自らを犠牲にして、会社のために馬や牛のように一生懸命働いている。

「電子機器工場で働く前は、文学や恋愛、そして世界中を旅行するという夢を抱いていた。でも、今は工場で働いている。ここで聞こえる部品と部品がぶつかる音は、まるで夢が砕け散る音。お休み、ワーカー!」。

「あなたのモーメンツでは最近、星とか銀河、宇宙とか夢、それに文学の話題を目にすることが無くなったけどどうしたの?もしかして私同様、ワーカーになったの?」。

「神様はあなたが流す汗の一滴一滴まできちんと見てくれてるよ。それは全部あなたの雇い主の銀行口座の残高にきっちり反映されているからね。お早う、ワーカー!」。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

これまでは頭脳労働者と肉体労働者を分けて、ホワイトカラーやブルーカラーと呼んだり、働く人の呼び方にもいろいろあった。そして、こうした人々を広く「サラリーマン」とも呼んでいた。

この数十年ほどを見てみると、若い出稼ぎ労働者を指す「打工仔(女性は打工妹)」や「社畜」といった呼び方が流行していた。「打工仔」は改革開放が進み、多くの出稼ぎ労働者が都市で働くようになって生まれた呼び方で、出身地から各大都市にやって来て働く若者たちを指す。「社畜」は日本語から取り入れられた呼び方で、会社に飼い慣らされ、まるで家畜のように従順にひたすら働き続け、搾取され続ける会社員を揶揄した呼び方だ。

出稼ぎ労働者や社畜にはネガティブな意味が込められている。出稼ぎ労働者は肉体労働に従事していることが多く、その給料も安いため、一般の人よりも軽んじて見られがちだ。また社畜は、現状に甘んじ、闘志もなければ、夢もないような人々を指す。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

しかし、「ワーカー」はこれらと異なり、それほどネガティブでもないかわりポジティブでもない中間にある呼び方だと言えるだろう。「ワーカー」は、平凡な仕事をしながらも何かを追求しており、屈辱を受けつつも強い意志を見せる。雇われて働いているが、だからと言って卑屈になることもなければ、偉ぶることもない。

ネットユーザーが作ったワーカーのステッカー

「ワーカー」という言葉が流行している背後にあるのは、日々の暮らしに重い負担を感じている若者の自嘲であり、ストレスフルな環境に対する不満であり、平凡な人生に甘んじたくないという気持ちも込めた一種の大人のブラックユーモアだと言えるだろう。受け身になるくらいならば、自分から進んで受け入れようという訳だ。これは仏のように物事に拘泥しない人々を指す「仏系」や若者世代に流行している無気力や悲観、絶望などの消極的な感情から成立したサブカルチャーである「喪文化」などに比べると、よりポジティブな色彩を帯びている。

ワーカーの皆さん、今日も頑張った?(編集KN)

「人民網日本語版」2020年10月23日

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