資料写真(撮影・王剛)
「ロングバージョン」の「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント。今年はプレセール期間が設定された)の幕が下ろされ、一部のECプラットフォームやブランド業者の販売実績は喜ばしいものだった。4982億元(1元は約15.9円)。これは2020年の天猫(Tmall)「ダブル11」の最終取引額だ。物流をみると、12日0時現在、天猫上の取引によるリアルタイム物流手配件数は23億2100万件に達した。
「ダブル11」のこれまでの11年間に変化したのは取引額だけでなく、消費者層のタイプにも変化がみられた。
多様な情報発信 何でもネットで買えるように
スターが持っているのと同じもの、ネットの人気者の評価、ブロガーのおススメなど、今の時代、商品を勧める方法はいくらでもある。
消費者の嗜好に基づいて、アルゴリズムによって大量の商品のリコメンド情報が消費者のもとに送られてくる。
最大の商品リコメンド情報発信プラットフォームとなったのは今年も淘宝(タオバオ)や天猫だったが、ECパーソナリティの地位も軽視できないものになり、今やすっかり新世代の商品情報ソースとなっている。
購入される商品の種類をみると、最も多いのは衣類、化粧品、日用品で、これまでと変わらないが、目新しい商品も登場した。
数日前、広東省の李さん(男性)が京東の微信(WeChat)公式アカウントで注文したのは、両親のために故郷の農村地帯に建てる別荘だった。頭金は5千元、残金は218万元だ。
ネットでショベルカーを買った人もいる。あるショベルカーメーカーの社長は、「『ダブル11』で戦うために、工場は9月から準備を始め、24時間夜も休まずに稼働した。倉庫には真新しいショベルカーがずらりと並んでいる。すべて『ダブル11』で消費者から注文が入った分だ」と述べた。
新しく登場した「尾款人」という概念
消費者はプレセールで予約した商品について、予約金以外の残金を支払うタイミングをプレセール当日か「ダブル11」当日の2つから選べるようになった。このような動きの中で、「尾款人」(予約金以外の残金を支払う人)という言葉が登場して話題になった。
「尾款人」には次のような細かい分類がある。
オオカミのような「尾款人」
「買う」よりも「奪う」方が刺激的であり、「大々的キャンペーン」よりも「秒殺」の方が原始的な衝動を呼び覚ます。商品を薦めるパーソナリティが「3」と数えたところであっという間に売り切れる人気商品は、オオカミタイプの「尾款人」が血眼になって買い物をしていることの何よりもの証拠だ。
錦鯉のような「尾款人」
マーフィーの法則によると、「ダブル11」に「参加することに意義がある」という人は、予約金リストがきっといっぱいになっているに違いない。普通の人は8時間も苦戦しながら、いつも決済の手前まで行くとシステムからはじき出されてしまうが、錦鯉タイプの「尾款人」は「残り物があればいい」くらいの気持ちで臨むので、いつも楽々と前の方に進むことができる。
待機時間が非常に長い「尾款人」
昼間は8時間働き、夜はライブ配信を8時間見守り、パーソナリティよりも待機時間が長い。時間など計らなくても、「尾款人」の鉄の意志がよくうかがえる。
支払い義務を忘れる「尾款人」
代金を支払ってから商品を受け取るまでの時間が長いと、受け取った時にはすでに支払いをした時の苦痛を完全に忘れていて、「この商品はタダ」と錯覚する「尾款人」もいる。
こうした分類だけでなく、今年の「ダブル11」には最近の「尾款人」の状態を表すいろいろな言葉が誕生した。
たとえば「■(王へんに奇)楽吾窮」という言葉がある。「ダブル11」の開幕イベントで、ライブ配信パーソナリティの李佳■が「尾款人」と書かれた横断幕をもって満面の笑みを浮かべていた(琦楽)のに対し、消費者の「私」は買い物ばかりして貧乏になり涙が止まらない(吾窮)、という意味だ。
「圭を食べる人」というのもある。
予約金以外の残金を支払った自分は、すっかり貧乏になって、「土」を食べて暮らさないといけないどころか、その上に「土」を重ねた「圭」を食べる人になってしまった、という意味だ。
ネットユーザーの中には、「私に罪があるなら、どうか天に罰されたい。あのECの大々的キャンペーンに罰されるのだけはいやだ」と語る人もいる。
しかし、こんなツッコミはしつつも、手切り族(ネット通販で過剰な衝動買いをしてしまう人々)になるのは楽しいものだ。その楽しさはやはり「尾款人」になってみないと味わえない。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年11月12日