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【中国キーワード】「顔面偏差値経済」が高度化 「見た目」にお金を払うのは誰?

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2021年07月19日11:29

熱心にスキンケアをし、外出するときは念入りにメイクをし、積極的に体を動かしてトレーニングに励み、低糖のライトミールを食べてスタイルを整え、プチ整形にもトライする……美しくなることは今や現代人の日常であり、若者たちの新たな生活観になった。顔面偏差値をめぐる消費活動と商業活動が活発になり、「顔面偏差値経済」と呼ばれるようになった。顔面偏差値消費の背後にあるのは、ここ数年で徐々に発展してきたこの「顔面偏差値経済」だ。

スキンケア製品と化粧品を買うときは成分が天然由来であることを求める。飲食では糖質ゼロ、カロリーゼロを求める。ダイエット・トレーニングはより規則的で健康的であることを求める。美しくなるためには顔が美しいだけではなく体も美しくなければならず、単に美しいだけではなくナチュラルで健康的でなければならない……これまでの写真の美顔加工やおしゃれとは異なり、現在の若者の美へのニーズは徐々に細分化して深まりをみせ、「顔面偏差値経済」が「アップグレード」され、高度化し続けている。

【顔面偏差値消費1.0】メイク・スキンケア・ファッション

メイク、スキンケア、ファッションはこれまで顔面偏差値消費市場の中心だった。特に生まれつき美を愛する女性にとって、化粧品とスキンケア製品ときれいな服はこれまでずっと重要アイテムだった。

メイクとスキンケアを例にすると、中国国内市場はこれまで長らく国際ブランドが主導的地位にあったが、ここ数年は周知の通り中国現地ブランドが勢いよく発展している。中国の消費者の自国ブランドへの注目度が持続的に高まり、市場のポテンシャルが絶えず発揮され、国産ブランドが海外ブランドに取って代わるペースが加速している。市場の予測では、2022年には中国の化粧品・スキンケア製品産業の市場規模は5千億元(1元は約17.0円)を突破するとみられる。

個性に合った化粧品・スキンケア製品のニーズが目立つようになり、「美を愛する人々」のスキンケアとメークへのニーズがますます垂直化・細分化し、1人あたりの購入ブランド数が年々増加している。「男性経済」を代表とする細分化された新たな市場において、化粧品への新たな主張が目を引き、肌タイプを細かく分け、個性に合わせた商品に人気が出て、市場での売り上げも持続的に伸びている。

消費者は製品の成分の安全性により注目するようになり、天然由来のエキスを成分とする化粧品の人気が上昇を続け、植物や食物のエキスを使ったものは特に人気上昇のペースが速い。

【顔面偏差値消費2.0】スポーツ・トレーニング

人々は顔だけでなく、健康やダイエット、筋肉増強・ボディメイクにもますます注目するようになり、ここ数年はこぞってトレーニング意識に目覚め、関連産業の付加価値がより多く生み出されている。

市場調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)がまとめたデータによると、スポーツジムの利用者のうち、「よくジムでトレーニングする」という人は50%に達し、「毎日ジムに行く」は10.4%、「週に2-6回行く」は44.7%、「週に1回」は32.6%で、9割近くが毎週ジムに行っていることがわかる。

ユーザーが以前よりもグループレッスンやパーソナルトレーナーなど別料金が発生する付加価値サービスを評価するようになり、サービスには対価を支払うという意識も上昇を続けている。「Keep」を代表とするトレーニング系アプリも広く人気を集める。

この影響により、中国のスポーツ・トレーニング市場の規模が急速に拡大している。「全国民トレーニングガイドライン」がまとめた統計によると、中国のスポーツ・トレーニング人口は30年に5億3千万人に達し、25年の中国トレーニングレジャー産業の規模は3兆元に拡大する見込みだ。

【顔面偏差値消費3.0】プチ整形が人気に

「70後(1970年代生まれ)」や「80後(1980年代生まれ)」の人たちが「整形はありかなしか」と葛藤している間に、多くの「90後(1990年代生まれ)」、とりわけ「95後(1995年から1999年生まれ)」の女性たちはもう何度も整形を行っている。

艾瑞諮詢のデータでは、20-25歳の若い女性が美容医療消費の中心で、1人あたり消費金額は7700元に達する。

しかしここ数年、健康的なライフスタイルがトレンドになり、メスを使わない美容医療サービスが若い消費者にますます人気となっている。「顔をいじる」や「脂肪を吸引する」といったリスクを伴う美容医療に比べ、「歯を矯正する」、「植毛する」といったより安全な軽めの美容医療を選ぶ人が増えている。

艾瑞諮詢のデータでは、増加を続けるオーラル関連消費のうち、歯のクリーニングを利用する人が67%を占め、次は虫歯治療が13%、歯のホワイトニングが8%となっている。こうした状況は、オーラル関連の医療行為のうち、口元の美しさを求める顔面偏差値経済がこれから重要な成長源になる可能性を示している。

データによると、中国には現在、「オーラル」、「歯科」、「歯科医」をキーワードとする企業が14万3700社存在し、21年1-5月の関連企業登録数は前年同期比34%増の9626社に上った。歯科産業はこれから新たな発展チャンスの時期を迎える可能性がある。

歯のホワイトニングのほか、顔面偏差値に直接関わるものでは植毛産業も盛んだ。ここ数年、抜け毛問題が現代人の「関心事の筆頭」になり、そこから巨大な消費市場が誕生した。市場データによれば、中国の植毛市場はこれから複合年間成長率18.9%のペースで成長し、2030年には756億元規模になると見込まれる。

美しくなりたい、内側も外側も

現代は内面と外見の顔面偏差値がともに高くなければならない時代で、顔面偏差値消費層は「美」を追求するだけでなく、芸術や文化、パーソナル管理のコンテンツにも広く注目している。SNSの豆瓣のグループ「今日は素敵?」では、美を求める男女がメイクやスキンケア、ファッションをめぐって熱い議論を展開するだけでなく、暮らしに関する知識についても熱心に情報を共有し、行間から日々の暮らしへ寄せる期待が伝わってくる。人々は互いにチェックし合い、セルフコントロールする様子を見せ合い、こだわりある暮らしの経験をめぐって楽しく交流する。「彼ら・彼女ら」によれば、こうすることで特別感のある暮らしが送れるようになるのだという。

「Z世代」が「顔面偏差値経済」をけん引 すべては「自分を喜ばせる」ために

中国の消費構造の高度化に伴い、ますます多くの人が見た目に関する消費を重視するようになっている。

消費の動機についてみると、多くの消費者が「自分を喜ばせるため」とし、約半分が「美しくなることでさらに自分を喜ばせることができる」と答えた。また美容医療サービスを利用する人の3割近くが、「美容医療を選択したのは周りの友だちに勧められたから」、「顔面重視社会の影響を受けたから」だとしている。

年齢別で見ると、顔面偏差値消費に若年化の傾向が見られる。

蘇寧金融研究院消費金融研究センターの付一夫センター長の分析によると、「顔面偏差値経済」の発展には3つの推進力がある。1つ目は個人の収入が増えたことと消費の高度化。2つ目はインターネット時代の新しい人間関係が顔面偏差値の影響力を高めたこと。3つ目はZ世代(1995年から2009年までの間に生まれた人)が大人になってきたことだという。

付氏は、「『Z世代』は中国経済が飛躍的に発展した時代に生まれ育ち、物質的に豊かな生活をしてきた。彼らは一般的に一人っ子で、家庭では上の世代に非常に大事にされてきた。彼らはネットの中で人に認められることを心から望んでいる。また彼らは『デジタルネイティブ』で、新しい物事に対する好奇心が極めて強い。こうした傾向によって、個性を重んじ、品質を追求し、新しいことや刺激的な物事に注目するというこの世代の特徴が形成された。この世代は顔面偏差値の高い物事を熱心に追求しており、『顔面偏差値経済』がこの世代の間で盛んになった」との見方を示した。

また付氏によれば、「Z世代」は「顔面偏差値経済」の発展を後押しした。品質に対するニーズが高度化することで、消費や生産をめぐる技術の改良を消費者の側から迫る形となり、それによって産業のレベルアップを推進できるという。(人民網日本語版論説員)

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「人民網日本語版」2021年7月19日 

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