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【中国キーワード】ごみゼロ 中国の若者のローカーボン・環境保護の新生活スタイル

丸わかり!中国キーワード

人民網日本語版 2021年08月30日11:38

マイバッグや持ち帰り容器を持参して食品を購入し、生ゴミは堆肥にし、洗剤やうがい薬を自作する……北京に暮らす湯蓓佳さんの「ごみゼロ生活」の一コマだ。湯さんはこうしたライフスタイルの提唱者でもあり、環境保護マーケットやごみゼロピクニックなどのイベントも企画する。

資源の浪費を少なくし、生態環境を大切にし、廃棄物をできるだけ回収・利用する。現在の中国では、こうした環境保護に配慮した「ごみゼロ」ライフスタイルが徐々に流行している。

ごみゼロとは?

ごみゼロのライフスタイルの概念は米国の環境活動家ベア・ジョンソンが打ち出したものだ。2010年の著書「ゼロ・ウェイスト・ホーム:ごみを出さないシンプルな暮らし」には、さまざまの実用的な「暮らしのヒント」によって、「できるだけごみを出さないようにする」環境保護の考え方が詳しく書かれており、世界各地でごみゼロのライフスタイルを目指す実践者を100万人以上生み出した。

このほど中国で発表された「Z世代(1995年代後半から2009年生まれの世代)のごみゼロ生活報告」によれば、ごみゼロと言うと、54%の人が真っ先に「食べ残しゼロキャンペーン」を頭に思い浮かべ、次は「グリーン移動交通」、「ごみを出さない」、「たくさん買いすぎない」を思い浮かべるという。ここから人々がごみゼロと日常生活、日常の消費を関連づけていることがよくわかる。一方、「堆肥」、「カーボンニュートラル」、「ミニマルライフ」、「カーボンフットプリント」などの相対的に専門的な用語が頭に浮かんだ人は20%以下にとどまり、ここから、専門性の高いごみゼロの行動・用語はまだあまり知られていないことがわかる。とはいえ、実際にごみゼロライフは今やローカーボンライフに向かう1つのスタイルになっている。

同報告書によると、私たちがごみを生み出すペースは想像よりもかなり速いという。57%の人が「1人が1週間に出すごみは5キログラム以下」と考えているが、実際には北京市では1人が1週間に平均約8.4キロのごみを出している。

ごみゼロに対する理解は人によってさまざまだ。ごみゼロとは浪費しないことと考える人もいれば、ごみゼロライフとはファストファッションに異を唱え、シンプルな生活を送ることだという人もいる。

簡単に言えば、ごみゼロとは「できるだけごみを出さない」スタイルの上に築かれた一種のライフスタイルの選択だ。理念であり、目標であり、廃棄物を管理する方法でもある。絶対的な意味でのごみゼロは実現が難しいかもしれないが、できる限り近づこうとすることは可能だ。そのため、ごみを減らす1つ1つの行動がすべてごみゼロに向かっていると言える。たとえばマグカップを持参したり、マイバッグを持って出かけたりすれば、ごみゼロライフの第一歩になる。

ごみゼロと私たちとの距離は?「環境保護はかっこいいい」

中国にはごみゼロをテーマにしたSNSのグループがある。「零活実験室(Go Zero Waste)」といい、17都市に都市別の小グループがある。オンラインでも個別テーマごとに20の小グループがあり、オフラインでは定期的にイベントや展示を行い、すべての活動が「ごみゼロのライフスタイル」のテーマをめぐって行われている。

グループの創設者「Elsa」さんはリーダー的存在で、グループ内では親しみを込めて「老湯」と呼ばれている。そんな湯さんの自宅と仕事場は北京市昌平区新城村にあり、自分たちで改造した家で暮らしの様子を紹介している。夫婦2人の衣類を1メートル×2メートルのクローゼットにどうやって収めているか。冷蔵庫やテレビ、ソファのない家で、必要なものはいったい何か。中古の家具や家電、板を使って新品のような家にするにはどうするか。湯さんの暮らしはこうしたことを教えてくれる。

湯さんは、「2016年にネットで、ゼロウェイスト運動をしている環境活動家のローレン・シンガーのニュースを見た。ごみゼロの概念を初めて知った時は、それほど重要とも思わなかったし、環境保護は自分とは縁遠いものというのが実感だった。生活のことで考えることがいっぱいあって、環境保護なんて考える余裕もなかった」と振り返る。これは多くの人の本音だろう。現代の都市生活は非常に忙しく、若者の生活は仕事と恋愛で大部分の時間が占められている。環境保護と言っても、ただのスローガンにしか聞こえない。

しかし湯さんは、多くの人がごみゼロは達成不可能だと言うが、それはなぜだろうと考え始めた。ゼロという極端な目標に恐れをなしているのだろうか。それとも自分の生活習慣を変えるのは大変な時間と労力のいることだと考えているのだろうか。それから1年間の実践を通して実感したことを通じて、湯さんはごみゼロは壮大なプロジェクトなどではなく、日常生活のほんのちょっとした習慣や選択の積み重ねであると気づいた。一番難しいのは最初の一歩を踏み出すことだったという。

湯さんは仕事を辞めて、資料調べとアカウント運営を始めた。「環境保護はかっこよくて、面白い。負担にはならないはずだ。もしも環境保護に取り組む過程で苦痛を感じたなら、ずっと永遠に続けることはできないだろう。自分のできるところから始めればいい。人と比べる必要はない」という。

ごみゼロを実践するのはどんな人?

ごみを出さないようにするにはどうしたらいいか。買い物を減らし、繰り返し使うことはもちろんだが、66%以上の人が「製品の設計過程でごみゼロの考え方を取り入れるべき」と考え、62.01%が「自分の欲望についてじっくり考え、不要なものを買わないようにするべき」、80%以上が「中古品を買う」としていた。また、若者の85%が「繰り返し使うのと回収・利用するのは違う」との見方を示した。

今、ごみゼロを実践しているのはどんな人か。同報告書によると、5つのタイプがあるという。まずは「体を使って実践する派」で、認識の上でも態度の上でも、さらには行動の上でも、迷いなく実践するごみゼロの達人だ。次は「積極的に提唱する潜在力派」で、実際の行動には移していないが、認識や環境保護に対する態度という点では、ごみゼロに高い関心を持つ人々だ。3つ目は「節約新貴族行動派」で、中心を占める人々であり、ごみゼロの概念よりもどうやって節約するかに関心を寄せる。4つ目は「概念を宣伝する理論派」で、豊富な理論や知識を備えるが、環境への関心度や実践ではやや他のタイプに及ばない人々だ。最後は「感動派ドリーマー」で、環境に対して高い関心を抱くが、認識や行動のレベルはそれほど高くない人々だ。

ごみゼロはどうやったら達成できるか?

ごみゼロに取り組もうとするのは、それが興味深く面白いライフスタイルで、自分にやさしく、環境にもやさしいからだ。ごみゼロは私たちに、節度ある消費をし、もっと大切に物を使用し、責任をもってごみを分類して廃棄するよう訴えかける。

ごみゼロを実践しようと思うなら、飲食や娯楽など様々なシーンでごみゼロに取り組むことができる。

食事を作り、お弁当を持参する。自分や大切な人のために台所に立つことは、忙しいが単調な生活を暮らしの息吹で満たすだけでなく、不要なたくさんのごみを減らすことにもつながる。

レストランで食事をする際には、店側が提供する使い捨ての食器はできるだけ使わないか、全く使わないようにし、プラスチックのストローも使用を減らす。食べ残しがあれば、進んで持ち帰るなどの方法がある。

使い捨ての食器を使わない。たまに持ち帰りをしたりデリバリーを頼んだりする場合にも、ごみゼロのやり方はある。マイ食器を使う、持ち帰る時に持参の容器を使う、デリバリーで「使い捨て食器は不要」にチェックを入れる、ストローは持参するか使わないなどだ。

遊んだりくつろぐときでもごみゼロは実践できる。

自宅にいる時には、衣類を整理して、使っていないものは寄付するか人にゆずり、ごみゼロを実践するブロガーの動画を視聴し、ごみゼログループの双方向の活動に参加し、リメイクに挑戦する。ちょっとした集まりがあれば、中古品を持ち寄って交換して新しいものを買う機会を減らし、食べ物は食べる分だけ注文して、無駄を減らす。旅行に行く時は自分の洗面具を持っていき、ホテルの使い捨てアメニティはあまり使わないか一切使わないようにし、ストールやコートをいつも携帯して、飛行機の毛布は使わない。移動の際に紙コップや使い捨てスリッパなどの使い捨て用品の使用を減らすかゼロにするなどが可能だ。

ショッピングでもごみゼロは実践可能だ。買う物を慎重に選び、お金を使うべきところと使うべきでないところ、どれがストレス解消のための消費か、どれが行き過ぎた消費かをしっかり見極める。物を大事にし、自分の実際の状況を踏まえて、自分の消費の限界を定める。たとえば口紅なら2本までしか持たない、スニーカーは2種類までにするなどの、小さな目標を設定する。慎重に選んで手に入れた自分の好きなものを大切にして、まだ使えるが使わなくなった時は、その物にふさわしい次の落ち着き先を探すことができる。(人民網日本語版論説員)

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「人民網日本語版」2021年8月30日

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