2021年、陸上自衛隊が演習を行っている様子。(資料写真) |
日本の防衛省は先般、2022年度防衛予算の概算要求を政府に提出した。基本防衛予算総額は5兆4797億円(約500億ドル)に達し、21年度当初予算比で2.6%増となり、過去最高額となった。これに在日米軍再編や沖縄に関する特別行動委員会の予算を加えると、総額5兆7000億円近くになる。(文:劉世剛<軍事科学院戦争研究院>。解放軍報掲載)
防衛省は概算要求で、この巨額の防衛予算を、宇宙・サイバー・電磁波など新領域における作戦能力、海空など従来領域におけるスタンド・オフ打撃能力、多様な経空脅威に対処する総合ミサイル防衛能力、グローバルな機動・展開能力の大々的発展、戦場の「ゲーム・チェンジャー」となり得る技術の研究開発、日米同盟の強化に主に用いることを明記している。
日本の防衛予算は、すでに9年連続で増加している。防衛予算の継続的増加は、その防衛政策の変更を反映しているだけでなく、「軍事的正常化」を推進する野心の表れでもある。特に日本が「インド太平洋戦略」の推進という米国の意図の力を借りて、「領域横断作戦」能力を強化し続け、「守り」から「攻め」への転換を一歩一歩実現していることを、国際社会は強く警戒すべきだ。
近年、日本の防衛省は「釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題」や「南西有事」など中国関連の問題を騒ぎ立てて、防衛費増額の口実を作っている。今回の防衛予算も同様の思考回路に基づいている。防衛省は2022年度に、南西方面の石垣島に警備部隊、中距離地対空ミサイル・地対艦ミサイル部隊を配備する計画で、佐賀に輸送機「オスプレイ」の基地、佐世保に港湾施設を建設する計画もある。日本は南西方面の戦力配備を強化するために、艦艇や航空機を調達する計画だ。また、南西諸島に弾薬庫や駐機場を建設し、滑走路復旧用設備なども調達する計画もある。
指摘しておく必要があるのは、与党・自民党が先日発表した「政権公約」で、NATOが加盟国に国内総生産(GDP)比2%の国防費支出を要求していることを踏まえ、日本もこれを目標に防衛費を増やしていくと明言したうえ、「自衛隊を憲法に明記」という従来の改憲の主張を堅持したという点だ。日本は近年、軍国主義による侵略の歴史を深く反省しないまま、平和憲法第9条の制限を破り続け、「軍事的正常化」を加速し、攻撃力を強化し続けている。こうした動きは、東アジアのパワーバランスに深刻な負の影響を与え、地域の安全保障上の困難を深め、アジアと世界の平和的発展にさらに多くの可変的要素をもたらすものであり、国際社会は強く警戒する必要がある。(編集NA)
「人民網日本語版」2021年10月21日