中国で書道が「一級学科」に、 博士学位の設置により何が変わる?

人民網日本語版 2022年09月27日11:21

中国国務院学位委員会や教育部(省)が今月13日に発表した「大学院生教育学科専攻目録(2022年)」(以下「目録」)、「大学院生教育学科専攻目録管理弁法」新版目録は、「美術と書道」を正式に「一級学科」に組み込んでいる。2023年下半期から、新入大学院生育成は、新版の学科専攻に基づいて行われることになる。

芸術系の専攻が一級学科に

二級学科よりも幅が大きく広がる

公開されている資料によると、1963年、中国美術学院の学部に初めて書道学科が設置された。新版「目録」の実施が始まるまでは、書道系の専攻は芸術系として新入生を募集し、美術系、音楽系と同じタイプの4年制学部の専攻(一部の院・校は専科を設置)だった。

大まかな統計によると、新版「目録」が発表される前までに、中国の高等教育機関約140校が「書道」系の学部学科を設置し、高等教育機関・研究所34校が書道系の大学院生を募集していた。

では、書道学科が「一級学科」に盛り込まれたことは何を意味しているのだろうか?中国教育科学研究院の研究員である儲朝暉さんは取材に対して、「一級学科になったことは、そこから枝分かれして二級学科を設置することができるということ。その幅は二級学科よりもかなり広い」と説明する。

書道専攻の学生が大学院進学を望む理由は?

就職は難しくても大学院試験のハードルは低い

大学院試験受験生に指導を行うある機関で書道を専門に教える張さんは取材に対して、「書道を専攻したほとんどの学生は卒業後、書道教育系の仕事に就いている。しかし、中国全土の小中高校では書道を専門に教える教師がまだ設置されていないため、ほとんどの卒業生は、ペン習字教室や書道教室などで働くしかなく、その就職の幅は狭い。そのため、学部で書道を専攻した学生は就職が難しく、引き続き進学することを望むケースが多い」と説明する。

湖北美術学院が今年1月に発表した「2021年度湖北美術学院卒業生就職の質報告」によると、書道学を専攻した卒業生が就職した主な業界は教育 (33.33%)、文化・体育・娯楽業(33.33%)、レンタル・ビジネスサービス業(33.33%)となっている。

ただ、書道が「一級学科」となれば、就職が難しいという問題が解決できるという説について、儲さんは、「書道を専攻した卒業生を受け入れることのできるポストは少なく、専門性が非常に高い。博士課程を増設して雇用を拡大させるという観点は成り立たない。ただ、書道は専門性が高いため、他の専攻と比べると、卒業生の就職の幅こそ狭いものの、競争率は低いため、ハードルは低いということだ」との見方を示す。

今後の見通しは?

書道の学習奨励効果を期待

儲さんは、「書道が『一級学科』になれば、一人でも多くの人が書道の学習を重視するよう奨励することができるほか、教育において中国の伝統文化を発揚することができる」との見方を示す。書道学科が一級学科開設に組み込まれたことの教育的意義について、中央美術学院の教授で、国家テーマ性美術創作研究センターの于洋副主任は、最近公開された文章の中で、「書道学科は長年、文学、芸術学、美術学といった他の学科に付属してきた。現在の書道学科の発展の現状は、時代の移り変わりに完全に適応することはできておらず、資源配置の合理性や優秀な教師資源不足といった問題について検討すべきだ」と指摘している。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年9月27日

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