3兆円の中古ダイヤ、日本をダイヤ輸出大国に (2)
これはまず、インドの宝石商の興味を引いた。ある競売では、インドの2社が日本の10カラットの中古ダイヤを競り合い、最終的に3500万円の価格で落札された。またあるインドの商社は、1億2000万円の価値を持つダイヤが詰まったバッグを獲得し、ビニール袋に詰めて会場を後にした。
羽振りの良いインド人は、日本人の目をボンベイに向けさせている。世界で流通しているダイヤの85%はインドで加工されており、ボンベイの100万人の労働者のうち、少なくともその半数がダイヤの加工職人だ。日本の中古ダイヤは現地の業界でよく知られており、世界最先端の機器による測量、最新のデザインによる加工により、価格が数倍に跳ね上がる。
インドの上流社会の女性はダイヤをこよなく愛する。彼女たちにとって、ブレスレットにダイヤを銀河のように散りばめることができれば最高だ。彼女たちがこれほどダイヤを欲しがることには、もうひとつの重要な原因がある。インド・ルピーの為替相場の急激な変動に耐えられなくなっているのだ。彼女たちは、西側の先進国による長期的・大規模な量的緩和策が、インドなどの新興国の金融情勢に衝撃をもたらしていることを認識しているのかもしれない。同時に彼女たちはダイヤと金の持つ希少価値が、自らの資産価値の維持を促すことを願っている。
同番組は、日本の中古ダイヤの中国市場における状況については詳しく触れなかった。しかし中国の人口はインドより多く、経済発展水準もインドより高いという、客観的な事実が存在する。全世界が、中国市場の価値と重要性をよく知っている。しかし日本の安倍晋三首相が、国連総会に出席した際に世界に向けて口にした言葉は、「日本は中国市場を欲している」ではなかった。
しかし安倍首相がそれを口にしていたとしても、日本の中古ダイヤが中国市場で「沸騰」を引き起こせるかについては未知数だ。これは消費者の観念という面を考慮する必要がある。ボンベイのダイヤ販売店で、店側は消費者に対して、新しいネックレスを「日本の中古ダイヤを利用して加工した」と自ら告げることはない。むしろ彼らはダイヤはダイヤであり、新しいも古いもないと強調するだろう。この新しいか古いかという問題に対して、中国の消費者は独特の観点を持っている。彼らは希少価値だけがダイヤの永久の価値ではなく、オリジナルの新品であることを同じく不可欠の要素としているのだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年10月18日