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731部隊の凍傷人体実験の再現を見る来場者。 |
韓国の忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市に位置する韓国独立記念館で10日から、旧日本軍の研究機関731部隊が行った細菌戦の実態を紹介する展示会が行われている。同展示会は中韓共同で開催され、歴史を心に刻み、得難い平和の訪れを訴えるのがねらい。同記念館宣伝文化部の李庸学部長によると、中国の黒竜江省哈爾浜(ハルビン)市にある中国侵略日本軍第731部隊罪証陳列館が、今回の展示会に向け731部隊の罪を証明する証拠品89点を提供した。同展示会の韓国側の責任者・趙帆来氏は、「加害者が正確に歴史を知り、真摯に反省、謝罪して初めて本当の平和が始まる」と語った。人民日報が報じた。
怒りの訴え
「731部隊の細菌戦の展示会はどこですか?」。同記念館の前にある広場で、来場者に尋ねられた。同広場には展示会を宣伝するポスターがたくさん掲示され、多くの人が見学に訪れている。
同記念館の第7展示館の入り口前にも、手錠をかけられた手が描かれ、被害者の怒りを描写した大きなポスターが掲げられている。中に入ると、まず目の部分がくりぬかれている大きなガスマスクの模型が目に飛び込み、鳥肌の立つ思いにさせられた。会場は、731部隊の設立や細菌実験を紹介する左側のブースと、残忍な人体実験や戦後も現地で続く細菌戦の後遺症を紹介する右側のブースの2つに分かれている。
展示されているのは、貴重な写真のほか、巨大な注射器や骨鋸、解剖台、凍傷検査器具、実験皿、ネズミ捕獲器、細菌インキュベーター、細菌弾など、当時の物証。韓国側の主催者は展示会をさらに生き生きしたものにしようと、工夫を凝らしている。例えば、残酷な人体実験の様子を伝えるために、模型やモニュメント、絵、光などを使っているほか、戦争捕虜、被害者などの証言などを伝える映像資料などを流し、説得力や真実味が増している。李部長によると、同展示会のために韓国側は1億ウォン(約900万円)を投じた。
来場者を最も震撼させているのは、凍傷実験の展示。白の模型や絵が731部隊の人体実験の残忍さやおそろしさを如実に伝えている。被害者の腕にはすでに大きなつららがぶら下がっているが、旧日本軍の将校はさらに水をかけ、その横で兵士が鬼の形相で見つめている。
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