ミセス・ワタナベが復活 日本からの資金流出が増加へ (2)
メキシコペソも恩恵を受けている。バークレイズのデータによると、メキシコの資産に対する個人資金の流入が昨年8月より増加しており、ミセス・ワタナベが約660億円の資金を固定収益ファンドに投じた。
HSBC投信の日本営業企画主管の山本賢司氏は、「メキシコは力強く安定的なペースで成長している」と語った。同社は日本で初めて個人投資家向けのメキシコ株ファンドを立ち上げ、約30億円の資金を調達した。
山本氏は、「メキシコペソの相場は今年、対円で13%上昇した。これは日本からの資金によるものだ。ペソにはさらに上昇する可能性がある。円の見通しに弱気だったら、ドルの代わりにメキシコペソを買ったらどうか」と提案した。
ロシア・ルーブルにも、大量の資金が流れ込んでいる(特に売り出し債と呼ばれる、日本の個人投資家向けの外貨建て債券を通じて)。ルーブル建て売り出し債の発行額は、今年2億7500万ドルで2位となり、日本で長い人気を誇るブラジルレアル建て(3億7300万ドル)に及ばなかったが、トルコリラ建て(2億5000万ドル)は上回った。
野村証券の池田雄之輔・チーフ為替ストラテジストは、「メキシコとロシアに流れ込む資金の多くは、オーストラリア資産から来ている。オーストラリア準備銀行は2年連続で利下げを行っており、オーストラリアの債券の魅力が低下した。他にも日中外交関係の悪化により、投資家は中国関連リスクを見直している。日本の投資家は、中国経済に最も敏感に反応する通貨は、豪ドルだと気づいている」と指摘した。
多くの人が、日本からの資金流出が増えると予想している。日興アセットマネジメントのチャールズ・ビーズリーCEOは、「日銀の黒田東彦新総裁は、実質金利の引き下げを決意している。そのため投資家は、現金にしがみつき損をする可能性に気づくだろう」と分析した。
日銀のデータによると、日本の家計の資産総額は1510兆円に達するが、そのうち半分以上が現金と預金だ。米国の現金・預金は53兆6000億ドルで全体の14%を占め、EUの場合は19兆ユーロで37%を占めている。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年3月20日