メタンハイドレートは溺れる者のつかむ藁ではない
東日本大震災から2年を迎えた日本が、「心を高ぶらせるニュース」を急いで世界に発表した。日本エネルギー庁が12日、海底からのメタンハイドレート採取実験に世界で初めて成功したと発表し、5年後の商業採掘を目指す方針を示したのだ。中国青年報が伝えた。
メタンハイドレート採取のニュースは「脱原発」論争から一時注意をそらし、回避するとともに、日本経済に「好材料」の良薬を与えるという二重の効果をもたらしたようだ。日本周辺海域のメタンハイドレート埋蔵量は日本が100年間使用するに十分で、今回採取実験を行った海域だけでも10年以上持つという。エネルギーの対外依存に苦しんできた日本は、溺れる者のつかむ藁を手に入れたかのようだ。
メタンハイドレートは本当に日本のエネルギー問題を解決してくれるのだろうか?それは恐らく容易なことではない。
メタンハイドレートは凍土帯や深海堆積物に存在する。世界の陸地の27%と海底の30%がメタンハイドレートを形成する条件を備えているとされる。
世界のメタンハイドレートのエネルギー総量は、すでに知られた石油、石炭、天然ガスなど化石燃料の総量の2倍に達すると科学者は推測する。世界の海底のメタンハイドレートは人類の使用量の1000年分に相当するとの推測もある。巨大な潜在的エネルギーであることは確かだ。
だがメタンハイドレートの採掘は巨大な危険性も伴う。中国石油大学の陳光進教授は以前、海洋中のメタンハイドレートを軽々に採掘すれば、地質と生態に惨事をもたらす可能性があると指摘した。先史時代の何回かの生物大絶滅は極端な温暖化と関係があると推測される。こうした気候変動は突発的原因によって海底のメタンハイドレートが大きな範囲で分解され、大量のメタンが大気中に放出されたためと考えられる。メタンは二酸化炭素の20倍という強力な温室効果ガスで、海底のメタンハイドレート中のメタンの総量は大気中のメタンの3000倍に達する。
技術的関門を突破しなければ、メタンハイドレートの採掘が極めて危険な行為であることは明らかだ。すでにある専門家は、今回日本が行った採取実験方法「減圧法」自体が地質災害を引き起す危険性があると警告している。
減圧法はメタンハイドレートを埋蔵する海底に深い穴を数多く掘り、二酸化炭素を注入して減圧し、メタンハイドレートを分解する方法だ。この方法の危険性は、慎重に操作しなければ連鎖反応を引き起し、辺り一帯のメタンハイドレートを一気に分解させてしまうことにある。こうした場合、海底の地質に変化を引き起し、地震さらには津波を招くことになる。重要なのは、こうした災難は日本に被害を及ぼすだけでなく、極端な気候変動による被害は全世界に及ぶということだ。