米国のSFアクション映画「アリータ:バトルエンジェル」は、北米市場での大コケとは対照的に、中国の観客を熱狂させている。北京時間の24日、中国での封切りから3日間の興行収入は3億4千万元(1元は約16.5円)に上り、SNS豆瓣の映画評では7.6ポイント(10ポイント満点)を獲得した。中国での好調さと明らかな対照をなすのは北米市場での興行収入で、封切りから1週間で5千万ドル(1ドルは約110.6円)に届かず、映画評論サイトのロッテン・トマトでは新鮮度60%とされた。世界の累計興行収入は1億5千万ドルに上るが、制作費は1億7千万ドル、マーケティングコストは1億ドルに上り、金融アナリストによれば、「赤字を出したくなければ、世界での興行収入が4億5千万ドルから5億ドルに達しなければならない」という。「北京商報」が伝えた。
「アリータ」は日本の漫画原作で興行収入が思わしくない初めてのハリウッド作品ではない。日本漫画「攻殻機動隊」が原作の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、スター俳優のスカーレット・ヨハンソンを主役に抜擢したにもかかわらず、劣勢は挽回できず、北米市場で6千万ドルの赤字を出した。
日本漫画原作のハリウッド映画は内容の点で北米市場に合わないということがままある。映画評論家は、「二次元と三次元の間に存在する『次元』の壁が障害になり、これは容易に打ち破ることはできない。漫画を題材にした場合、気をつけないと『原作の味わいを損なう』ことになり、一般の観客を呼び込むこともできず、原作ファンにはそっぽを向かれるという、にっちもさっちもいかない状態に陥る」と説明する。
「白人中心主義」の制作理念も多くの漫画原作映画をどっちつかずのものにしている元凶の1つだ。ネットフリックスが「デスノート」を映像化した際は主人公を白人に変えた。2017年の実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、原作ではごく普通の日本人の女の子だった主人公・草薙素子を世界的スターのスカーレット・ヨハンソンが演じるということで、「白人中心主義」ではとの論争が盛り上がった。主役が発表されると、独立系漫画家のジョーン・ツイ氏は、「『攻殻機動隊』は日本ならではの物語で、世界のどの場所でもこの物語は成り立たない」と疑問の声を上げた。