ここ数年、日本の不動産市場には奇妙な現象が起きている。一方では、東京などの大都市で不動産価格が上昇を続けている。日本の不動産経済研究所が2018年8月に発表したデータによれば、東京23区内の新築マンションの平均価格は7287万円で、1990年のバブル経済崩壊以降で最高を記録した。もう一方では、一部の地域では空き家率が大幅に上昇し、不動産価格は値下がりを続け、売りに出しても問い合わせる人も買う人もほとんどいないという問題が現れている。地方自治体の中には、申請条件を満たせば、一戸建てを無償で提供して人を呼び込もうとしているところさえある。アナリストによると、「日本の不動産には熱と冷が交互に出現し、価格上昇と空き家率上昇が同時に現れるという奇妙な現象が起きている」という。「経済参考報」が伝えた。
日本経済が緩やかに回復し、東京五輪の開催が決定すると、需要が増加して、東京の不動産市場は販売量も価格も徐々に上向いた。特に日本銀行(中央銀行)が長期的に超緩和政策を実施したことで、ここ数年の日本の大都市の不動産価格は上昇傾向が加速した。同研究所が発表した統計データでは、17年末、東京23区内のマンションの平均価格は7089万円で前年比6.9%上昇し、1平米あたり108万3千円になった。それが18年6月になると、平均価格7828万円、1平米あたり120万円に上昇していた。70平米のマンションに換算すると価格は8400万円となり、90年のバブル崩壊後で最も高い。
住宅市場が沸騰しているだけでなく、オフィス用物件も好調だ。日本の大手仲介会社・三鬼商事のデータによれば、東京の中心エリアのオフィス用物件は供給不足で、新築物件は内装も終わらないうちに予約でいっぱいになるという。
しかし日本のオリックス株式会社の井上亮社長は、「日本の不動産市場が暴落することはないだろうが、これから1〜3年で調整期に入るとみられる。円高が進んで1ドル100円の水準になれば、外国人投資家が保有する不動産の一部を売却するだろうし、五輪相場もいつかは終わるので、不動産市場は調整局面に入ることになる」との見方を示す。
大都市で住宅価格が上昇し続ける一方で、都心部から遠い多くの地域、小都市や小村、さらには東京の一部の便利ではない地域などは、人口が減少して、不動産価格が値下がりし、空き家が増え続けている。一部の地方自治体にとって空き家は頭を悩ませる難題だ。