「我々はこの2年間で、衛星・地球間暗号の生成量を40倍に拡大した。現在は1秒で約40万個の暗号を送ることができ、一部の応用機関の安全通信の需要を大まかに満たしている」。10日の全国政協第13期第2回会議の記者会見において、全国政協委員、中国科学院院士、中国量子科学技術の代表人物である潘建偉氏はメディアの取材に対して、量子衛星「墨子号」の作業の進捗状況を紹介した。人民日報が伝えた。
説明によると、科学実験衛星「墨子号」には、主に2つの目標がある。一つは実用的なもので、超長距離衛星・地球間量子機密通信の実現だ。もう一つは基礎科学レベルのもので、宇宙スケールでアインシュタインが指摘した「量子力学の不確実性」を検証する。
墨子号の性能・指標は予想を大幅に上回り、2年で完遂を予定していた科学試験任務を2−3カ月で終えた。そのため潘氏が率いるチームは過去3年近い間に、衛星の性能を改良する多くの時間を持てた。これにより、この科学実験衛星は実用化の面でより多くの進展を成し遂げた。
墨子号は現在、夜しか作業できない。日中は太陽光が強すぎるためだ。いつでも暗号を生成できるようにし、業務化運行の情報安全を守るように、潘氏のチームは将来的に中高軌道衛星を開発し、24時間一日中の作業を実現する計画だ。
情報安全は公衆の利益と密接に関連しており、プライバシーのレベルだけの話ではない。潘氏は「将来的に自動運転の時代に入り、自動車を遠隔操作できるようになれば、ハッカーによる攻撃を極力防止しなければならない。そうしなければ、車両走行の安全を確保できなくなるからだ」と例を挙げながら、「量子通信は原理的に無条件で安全な通信手段であり、将来的に情報安全水準を大幅に向上させることができる。科学研究者は量子情報技術のカバー範囲の拡大に取り組んでいる。コスト削減により、一般の人々が一日も早くそのメリットを享受できるように努力する」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年3月11日