3月になると、天猫(Tmall)、蘇寧、京東などのECプラットフォームが米アップル社のスマートフォン「iPhone」(アイフォーン)を値下げした。今年に入り3回目の値下げだ。調査機関がこのほど発表した最新のデータによると、今年2月のiPhoneの中国市場ニーズは前年同期比67%低下し、百度(バイドゥ)ではiPhoneの検索件数が同47%減少した。ただECプラットフォームがまとめたデータをみると、iPhoneの値上げが早速効果を上げたことは確かで、販売台数も大幅に増加した。値下げによる販売促進効果は明らかだ。天猫が提供したデータによると、3月5日から7日午後12時までの間に天猫プラットフォーム全体のiPhone販売台数は前月同期比150%増加し、中でも「iPhone XS Max」(アイフォーン・テン・エス・マックス)は同230%増加した。中国新聞網が伝えた。
第一携帯電話界研究院の孫燕飆院長は、「目下のiPhoneの販売価格は実際のところ混乱に陥っている。わずか3ヶ月間に3回も値下げし、これは実際には『iPhoneは値崩れしない製品』という概念に打撃を与えるものであり、アップル生態圏の供給チェーンの個々の部分にも打撃を与えるものだ」と述べた。
上海社会科学院インターネット研究センターの李易首席研究員は、「アップルにとって、値下げがこれまで神格化されてきた高収益を損なうものであることは確かだ。よってアップルは着地点を見いださなければならないが、これはアップルのソフトウェア事業やインターネットサービス事業などがどれくらい収入を上げるかによって決まる。現在、アップルが高収益を手放したくないのは明らかだが、ソフトサービスの収入が急速に増加し、iPhone値下げによる利益の損失がある種の均衡点に達すれば、アップルはiPhoneの大幅値下げを敢行できる」との見方を示した。
今年2月以降、サムスンや中国の多くの携帯電話ブランドが科学技術の実力を次々に見せつけ、5Gや折りたたみディスプレイが相次いで登場し、アップルの「出遅れ感」がますます強まった。別の目に見える現象として、iPhoneが値下げを打ち出したのとは反対に、中国国産携帯電話は次から次へと値上げに踏み切り、「価格5千元組」(1元は約16.6円)の仲間入りを果たしたことがある。公開された資料によると、華為(ファーウェイ)の「Mate20 Pro」の価格は5399元から、vivoの「vivoNEX」デュアルディスプレーモデルは4998元から、OPPOの「FindX」は4999元からとなっている。
業界関係者は国産携帯の値上げの理由について、「2018年から国産携帯はアップルに追随しなくなり、技術面でも絶えずブレークスルーを達成したからだ」と説明した。
孫院長も、「最近発表されたまたは発表間近の国産携帯のいくつかのモデルをみると、性能は多くの点ですでにiPhoneを超えている。iPhoneが牽引してきたノッチスクリーンはもはやトレンドではないし、国産携帯の多くはカメラ性能でもiPhoneを遙かに上回っている。iPhoneの値下げの波は徐々に引いていき、今年5月頃にはiPhoneはブランドと性能が安定していることを除けば、特に優位性のない製品であることにだれもが気づくようになる」と予想した。
しかし一方で、李首席研究員は、「国産携帯の相次ぐ値上げは市場の暗黙の了解という意味合いがより強い。携帯市場の競争が一定のレベルに達し、市場参加者の多くが淘汰され、残った参加者の誰をも市場から追い出せなくなった時、残った参加者はお互いの存在を暗黙の内に認め合い、真の意味の『盟友』になり、稼ぐことを考えるようになる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年3月19日