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今年は何が選ばれた? 2019年流行語トップ10発表

人民網日本語版 2019年12月03日17:21

中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部は2日、「2019年流行語トップ10」を発表した。今年は「文明互鑒(文明の相互参考)」、「区塊鏈(ブロックチェーン)」、「硬核(ハードコア)」、「融梗(パクリネタ)」、「××千万条、××第一条(××は数え切れないほどあるが、一番大切なのは××)」、「檸檬精(レモンの精)」、「996」、「我太難/南了(辛すぎる)」、「我不要你覚得、我要我覚得(君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事)」、「霸凌主義(覇権主義)」が選ばれた。

一、文明の相互参考(文明互鑒)

文明の相互参考とは、世界のさまざまな文明間の交流を強化し、互いに参考にし合うという考えだ。2014年3月27日、中国の習近平国家主席は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)本部で講演した際、「文明は交流によって多彩になり、相互参考によって豊富になる」と語った。その後この5年間にわたり、習主席は一連の重要な公式の場で、何度も「文明の交流と相互参考」に言及してきた。この言葉は今、さらに深みを増しており、影響も拡大している。今年5月15日、習主席はアジア文明対話大会の開幕式で、再び「文明が多彩なため、交流ができ、交流することで、相互参考ができ、相互参考することで発展できる」と力強く語り、世界の人々の共感を集めた。「文明の相互参考」は、人類運命共同体を構築するための人的・文化的基礎で、各国の国民が親睦を深めるための架け橋で、人類社会の進歩を促進する原動力で、世界の平和を守るための架け橋でもある。「文明の相互参考」はすでに世界の流行語となっており、海外メディアや中国国内メディアで広く使われている。

二、ブロックチェーン(区塊鏈)

ブロックチェーンとは情報技術分野の専門用語。その本質はデータベースの共有であり、そこに納められるデータや情報は、「偽造できない」、「全ての過程の情報が残る」、「トレーサブル」、「オープンで透明性が高い」、「一括メンテナンス」などの特徴を備えている。それらの特徴を基に、ブロックチェーン技術は、「強固な信頼」の基盤を築き、信頼できる「協力」メカニズムを作り出すことができ、それがさまざまな分野で運用できるようになると期待されている。今年1月10日、中国国家インターネット情報弁公室は「ブロックチェーン情報サービス管理規定」を発表した。今年10月24日、習主席は「コア技術であるブロックチェーンは、自主イノベーションの重要な突破口。ブロックチェーン技術や産業のイノベーション発展の促進を加速させなければならない」と強調した。このように「ブロックチェーン」という言葉はすでに人々に広く知られるようになり、社会的にも注目を集めている。

三、ハードコア(硬核)

英語から来ているハードコアは元々、より暴力性や攻撃性を強調し、激しいリズムを特徴としたロックのジャンルの一つだった。しかし、中国では、「コアオーディエンスにとって、難度が少し高く、それを楽しむためのハードルが高いもの」を指して使わるようになった。例えば、難度の高いゲームが「ハードコアゲーム(hardcore game)」と呼ばれるといった具合だ。そして、近年、「ハードコア」はさらに、「すごい」、「大胆」、「ストイック」であるなどの意味も表すようになり、「ハードコア規定」、「ハードコアママ」、「ハードコアゲーマー」、「ハードコア人生」などといった具合に使わるようになった。今年春節(旧正月)明けに公開されたSF映画「流転の地球(原題・流浪地球)」が大ヒットして、「ハードコアSF」が話題となり、「ハードコア」という言葉に対する注目度がさらに高まった。

四、パクリネタ(融梗)

「融梗」の「梗」は芸術作品などにおける笑いどころや物語におけるストーリーやパート、アイデアなどを指す「哏」という漢字と発音が似ていることからこの字があてられている。そして「融梗」とは、他人のユニークなアイデアを自分の作品の中に取り込むことを指す場合に使われる言葉。近年、一部の文芸作品が「盗作」ではないかという疑惑が浮上し、ネットでは、「パクリネタ」に関する議論が度々行われてきた。しかし、「理に適った範囲での参考」なのか、「違法な盗作」なのかという境界線は曖昧で、それをめぐる結論は一向に出そうにない。今年10月末、映画「少年的你(Better Days)」が大ヒットしたものの、原作となった小説が日本の推理小説作家・東野圭吾の複数の作品の「パクリ」ではないかとの疑惑が浮上し、ネットユーザーらの間で議論が巻き起こった。この疑惑をめぐり、学者の易中天氏は微博(ウェイボー)で、「本当の天才は別として、他の作家の作品を全く参考にしていないという作家はほとんどいない。他人の作品を不器用にコピーしたり、直接パクったりしているのか、それともうまく参考にしてそれを自分のものにしているのかがカギだ」との見方を示し、「パクリネタ」という言葉が再び注目を集めた。

五、××は数え切れないほどあるが、一番大切なのは××(××千万条、××第一条)

映画「流転の地球」は高く評価され、中国国内で大ヒットとなった。劇中、何度となく流れた「道路は数え切れないほどあるが、一番大切なのは安全。交通ルールを守らないと、家族が涙を流します」という交通安全の標語がたちまちトレンドとなった。この標語は語呂合わせがいいわけでもなく、実際に読もうとすると舌を噛んでしまいそうだが、その内容はとてもリアルで、人々の安全に対する意識を高め、多くの人が共感を覚えた。そしてその後、「健康の秘訣は数え切れないほどあるが、一番大切なのは睡眠」や「スキンケアの方法は数え切れないほどあるが、一番大切なのは科学的であること」、「祝福すべきことは数え切れないほどあるが、一番大切なのは健康」など、「××は数え切れないほどあるが、一番大切なのは××」を派生させることでその使用範囲が広がり、社会的に流行した。

六、レモンの精(檸檬精)

「レモンの精」とは、レモンの酸っぱさと、他人に嫉妬した時の胸の苦しさを一つにした言葉。「レモンの精」は最初のうち、他人の嫉妬深さを嘲笑するような場合に使われていた。しかし次第に「嫉妬」というネガティブな意味合いは薄れ、他人のルックスや才能、持ち物、恋愛などを羨ましく感じた時の自虐ネタとして使われるようになってきている。「私はレモンの精になっちゃった」と言えば、つまり「うらやましい」という意味になる。そして「レモンになった」、「酸っぱさを感じた」といった表現も同じく「うらやましい」という意味として使われるようになっている。さらには「甘酸っぱいレモンの精」という言葉まで登場し、他人の「甘い」ノロケぶりに当てられ、心は「酸っぱく」なった複雑な心情を表す際に使われている。

七、996

「996」とは、朝の9時から夜9時まで、毎週月曜日から土曜日までの6日間働き続けているという過酷な勤務を指す。そのような過酷な勤務は、IT系など、ハイテク関連の企業に多い。今年3月、IT企業のプログラマーたちが、ネット上「996」勤務に反対する声を上げた。それに対して、4月12日、阿里巴巴(アリババ)は微博(ウェイボー)の公式アカウントに創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の言葉として、「『996』勤務ができること自体ラッキーなことだ」と、996勤務を擁護するような書き込みをして、社会から激しく糾弾された。同日午後、馬氏はすぐに、「どんな企業も、従業員に996勤務を強制することができないし、してはいけない」と、火消しに回った。「996」は、「中華人民共和国労働法」に違反しており、社会各界からの批判を集めることとなった。

八、辛すぎる(我太難了/南了)

「辛すぎる」は、ショート動画アプリ・快手の「ちょっと悲しい動画」から生まれた流行語。その動画には物悲しいBGMが当てられ、パーソナリティは眉を寄せ、虚ろな目で、「辛すぎる、アニキ、最近ストレスがたまりすぎだよぉ」と嘆きながら、今にも泣きそうな顔でおでこに両手をあてている。この動画が投稿されるや、たちまちこの「辛すぎる」が人気ワードに。その後、ネットでは、「辛すぎる」をテーマとしたSNSステッカーも続々と登場。なかには、中国語の「難」と発音が同じ「南」という漢字を当て、マージャン牌の「南」を使ったユーモラスなステッカーも登場し、そこから「我太南了」とするのも流行した。「辛すぎる」という言葉の流行から、多くのネットユーザーがストレスを解消したいと願っていることが見て取れる。

九、君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事(我不要你覚得、我要我覚得)

「君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事」は、2019年夏に放送されたバラエティ番組「中餐庁」のシーズン3のゲスト・黄暁明(ホアン・シャオミン)の口から生まれた流行語。同番組で、黄暁明は、「俺ファースト」の「店長」役。レストランのメニューから仕入れまで一切について他人の意見に耳を貸さず、自信たっぷりにごう慢な態度まる出しで、「君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事」と発言。さらに、「話し合いの必要無し」や「俺の言うことを聞けばいい。俺が店長なんだから」などの発言もネット上で大きな話題となった。「君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事」というフレーズが流行したことは、ワンマンな人や横暴な人に対する反感や嘲笑の気持ちが反映されている。

十、覇権主義(霸凌主義)

「霸凌」は、英語の「bully」から音訳した単語で、横暴なふるまいや弱い者いじめを指す。「覇権主義」はこうした横暴なふるまいで、国と国の間にある問題を解決しようとすることを指す。米国は、国際事務を処理する際、国際関係のルールを全く顧みず、他国の合理的な要求も全く考慮もせず、制裁や関税の引き上げといった方法でこぶしを振り上げては、他国にプレッシャーをかけ、さらには他国の事務にまで厚かましくも首を突っ込んでいる。さらに、オブラートに包むことも、言い訳をすることもなく、あからさまに「米国ファースト」を口にし、米国の利益を優先するよう世界に求め、米国から物を買い、米国に利益を還元するよう求めている。また、理不尽なごたごたを次々と起こしては、悪びれることもなく、「軍隊が中東に駐留しているのは石油のためだ」と認めている。「覇権主義」は、世界の流行語となっており、世界各国の人々の注目を集めている。米国の「覇権主義」的思考と行動は、世界に大きな危害をもたらしている。(編集KN)

「人民網日本語版」2019年12月3日

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