2019年も残すところあとわずか。この時期になると中国でも今年の漢字や流行語、ネット流行語などが次々発表されることになる。言葉は生き物というが、流行語やネット用語はまさにその年を映し出す鏡であり、変化の最先端にあると言えるかもしれない。今回は今年中国で流行ったホットワードをその成り立ち別に紹介していこう。人民網が伝えた。
社会現象から生まれたホットワード
朝9時から夜9時まで、週6日勤務という過酷な勤務スタイルを現した「996」や、「上海市生活ゴミ管理条例」の施行スタートと共に流行った「你是什麽垃圾?(あなたは何ゴミ?)」という挨拶などは、今年の中国における社会的な現象を反映しており、残業に疲弊するホワイトカラーやゴミを手に分別に悩む上海市民の姿を垣間見ることができる。
【解説】今年はゴミ分別が大きな話題に。ゴミに関するホットワードも数多く登場し、なかでも「あなたは何ゴミ?」のフレーズは挨拶代わりに使われるようになったというネタと共に人気を博した。
ショート動画のBGMから生まれたホットワード
「你笑起来真好看(君の笑顔は本当に素敵)」や「野狼Disco(野狼ディスコ)」、「騎上我心愛的小摩托(アタシのカワイイバイクで移動中~)」などはいずれもショート動画共有アプリ「抖音(Tik Tok)」などで人気に火がついたBGMの歌詞などから生まれたホットワード。共通しているのは、歌詞自体の意味よりもむしろその耳に残りやすいメロディーが「洗脳神曲」として広まり、同じBGMを使って多くのユーザーがショート動画を投稿したことで、急激な勢いで広まっていった点だ。
【解説】中国の東北地方出身の歌手が歌うベタなほどダサダサながら、なんとなく懐かしさを感じさせるメロディーと歌詞がショート動画のBGMなどに使われて瞬く間に人気に。
テレビ番組などから生まれたホットワード
ショート動画の勢いに押されているものの、テレビのバラエティ番組などから生まれたホットワードも少なくない。アイドルの場合はそのファン層の広さから、またバラエティ番組もその視聴者の多さから、毎年ランキング入りを果たすホットワードが登場している。
【解説】2019年夏に放送されたバラエティ番組「中餐庁」のシーズン3のゲスト・黄暁明(ホアン・シャオミン)の口から生まれた流行語。同番組で他人の意見に耳を貸さず、自信たっぷりにごう慢な態度まる出しで、「君がどう思うかではなく、俺がどう思うかが大事」と発言した。
別の漢字への置き換えや方言から生まれたホットワード
毎年必ずと言っていいほどいくつかランキング入りするのが同じ発音で違う漢字に置き換えた「諧音」を使ったり、方言によって音が変わり、そこから別の漢字に置き換えたホットワード。今年話題となった「我太難了(辛すぎる)」はショート動画から生まれたホットワードだが、「難」を同じ発音の「南」に置き換え、麻雀パイの「南」を使ったスタンプが広まったことで、「我太南了」という表記に派生。また「雨女无瓜(キミに関係無し)」は、あるテレビドラマのキャラクターのセリフ「与你無関(キミに関係なし)」が方言の関係で全く別の音に聞こえることから、ネットで揶揄する別の字を当てた「雨女无瓜」が登場し、人気となった。
【解説】「辛すぎる」は、ショート動画アプリ・快手の「ちょっと悲しい動画」から生まれた流行語。物悲しいBGMに眉を寄せ、虚ろな目をしたパーソナリティが、「辛すぎる、アニキ、最近ストレスがたまりすぎだよぉ」と嘆きながら、今にも泣きそうな顔でおでこに両手をあてている。
またこれ以外にも、映画やショート動画などから話題になったフレーズ、日本語や韓国語で話題となったフレーズを中国語に訳したものなど、その成り立ちは様々。
【解説】追っかけするアイドルをひたすら褒め上げるファンたちが使用。アイドルは素敵すぎてオナラまで虹という解釈。
そしてSNSやスタンプなどを通じて広まっていく過程で様々な派生した意味が生まれ、当初とは違った意味で使われるようになっているホットワードも少なくない。そして生まれては消えてしまうフレーズもある一方で、数年たってもしっかりと存在し続けるフレーズも。そんな「イマドキ」なフレーズを幾つか覚えておけば、中国の友人をアッと言わせることができるかもしれない。 (文・イラスト・玄番登史江、袁蒙)。
【2019年歳末おまけ】
作者が同僚と一緒に選び、作ったイマドキ版2019年注目のホットワードスタンプ16個!いくつ知っていますか~?
イラストで知ろう!イマドキ中国
人民網ではもっと身近なスタイルで今どきの中国を読者の皆さんに知ってもらうため、「つるにはまるまるむし爺さん」と「へのへのもへ郎」、「へめへめくつ美」の3人が流行語やカルチャー、時事問題など幅広いジャンルにおける「イマドキ」を紹介。中国ってこんな国なんだ!と興味を抱き、理解を深めるきっかけにしてみてください。
「人民網日本語版」2019年12月18日