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ビリビリで若者に人気の懐かし名作ドラマ、弾幕に見る若者の「新解釈」

人民網日本語版 2020年07月07日10:23

中国の動画共有サイト・Bilibili(ビリビリ)で最近、1980‐90年代に製作された四大名著(三国志演義、水滸伝、西遊記、紅楼夢)を題材とするドラマがアップされ、ネットユーザーの間で人気を博している。なかでも1994年に製作された「三国志演義(原題:三国演義)」の再生回数は現時点で1700万回を超えている。ビリビリの若いユーザーは、なぜ「ジェネレーションギャップ」を乗り越え、自分たちが生まれるよりも前に製作された名作ドラマを好んで見ているのだろうか?こうした興味深い現象に、多くの学者が注目するようになっている。例えば、中国芸術研究院の学者・孫佳山氏は、「若者は弾幕と呼ばれるコメント表示機能を通して、四大名著を題材にしたドラマに対する斬新な解説をしている。それが、名作ドラマが時代という壁を超える力になっている。そして、クリエイターや研究者に対して、弾幕というネット上における若者の発言の場に、注目し、それを研究するようにというメッセージを送っている」との見方を示している。文匯報が報じた。

「こんな厚顔無恥の奴に会ったことがない」。そんな「三国志演義」に出てくるセリフが多くのビリビリユーザーの間で「合言葉」となっている。ドラマで、諸葛亮が軍隊の前で王朗を罵倒するそのシーンは、長年、うp主により、舌戦、口撃などを表現する作品としてアップされ、ビリビリのユーザーを楽しませてきた。そのため、ドラマ「三国志演義」がアップされると、多くのビリビリのユーザーは、すぐに69話の35分50秒まで早送りし、そのシーンは「私の青春が帰ってきた」などの弾幕で埋め尽くされた。

しかし、再生回数1700万回よりも、同ドラマを鑑賞する人が58万人おり、弾幕数が82万件に達しているという数字のほうがもっと注目に値する。つまり、ビリビリのユーザーは、自分の見たいシーンを見て終わりというわけではなく、真剣に同ドラマを鑑賞し、そのストーリーについて語り合っているということだ。また、同じときにアップされた1986年製作の「西遊記」、1987年製作の「紅楼夢」、そして1998年版「水滸伝」の再生回数も累計で2000万回を超えている。

ビリビリの陳睿・董事長兼最高経営責任者(CEO)によると、ビリビリのユーザーの平均年齢は約21歳。若者らがなぜ、ビリビリに集まって、自分たちが生まれる前に製作された名作ドラマを見ているかというと、子供の頃の関連の思い出が蘇り、共感を呼んでいるという感情的な要素があるだろうとしている。弾幕を見ると、「子供の頃の思い出」や「名作」などの言葉がよく見られる。昔のものを見てみたいという気持ちが多少なりともあるからだろう。さらにこれらの名作はクオリティが高くその背景のストーリーの解説やサウンドトラックの鑑賞、歴史文化の鑑賞のほか、ビリビリで流行している音MAD、名場面などに利用されるなど、ビリビリのうp主らが、二次加工できる素材が大量にある。

インターネット文化を研究する北京大学中国語学部の李強博士は、「ビリビリで、そのような名作ドラマ・映画の二次創作や二次加工が流行しているということは、若者の『参加意識』、つまり、自分が参加したり、製作したり、表現したりしたいという意識が非常に強いということだ」と分析する。実際に、ビリビリのユーザーは、大量の音MADの洗礼を浴びた後、原作について論じたり、表現したりしたいという強い願いを抱くようになっている。

ゲームや2次元(アニメ・漫画・ゲームなどを総じたジャンル)という概念が、名作ドラマの場面や登場人物をユニークに表現し、多くの人がそれに共感を覚え、熱狂するようにさえなっている。そして、インターネット世代の若者たちを、名作ドラマに引き込む新たなルートとなっている。ビリビリでドラマ・映画を見る時に、弾幕をオフにすると、おもしろみが半減してしまうかもしれない。例えば、戦闘の時に、張飛が太鼓を敲いて、兵士を勇気づけるシーンでは、「太鼓の達人登場」という弾幕が流れ、「紅楼夢」で林黛玉が登場すると、「ディスりの林が登場」という弾幕が流れ、賈宝玉に対して嫉妬じみた発言をするシーンには「恋人バトルは毎回命がけ」という弾幕が流れる。

「太鼓の達人」というのは、音楽ゲームの名前であり、「ディスりの林」というのは、気ままで、ストレートな発言をする林黛玉をディスる言葉だ。それらネット用語や含みのある表現は、ビリビリのユーザーの間では、互いの身分を知る「合言葉」となっている。現在、弾幕というのは、若者が自分たちの言葉で、名著を解読するためのツールとなっており、コミュニティ内で交流し、思考を巡らす手段ともなっている。ある専門家は、「さまざまな世代、年齢、文化背景の人々の評価対象になることで、名作ドラマ・映画は、時代を超えることのできる生命力を備えることができる」と評価している。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年7月7日

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